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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
このコーナーでは、教育のあるべき姿をベネッセ教育研究開発センターと、皆さんと共に考え、創りあげていきます。
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
これまでたくさんのアクセスをいただき、ありがとうございました。

特集
子どもを取り巻く環境と生活習慣

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危機がつのる「子どものからだ」

中村和彦 山梨大学准教授

競技型のスポーツの落とし穴

 そもそも野球やサッカーといった競技は大人の文化であり、子どもの遊び文化ではありません。それなのに日本では、子どもに競技を指導し、競わせることに熱心です。小学生のスポーツで全国大会のある国は、私の知っている限りでは日本ぐらいのものです。こうした環境では、子どもの発達段階に合わせて楽しんでからだを動かし、基本的な動作や運動能力をバランスよく養っていく機会が損なわれてしまいます。さらに、小さいころに勝ち負けにこだわる指導を受けると、そのスポーツを嫌いになってしまう可能性があります。勝つことを優先するのなら、常にベストメンバーでのぞむ必要があります。しかし、ずっと試合には出れず、いつも玉拾いだったら、楽しくなくなるでしょう。こうしたことが、大学生で競技スポーツ部に参加するものが少なくなっていることの原因の1つと思われます。大学時代は、最もスポーツをするのに適しているときです。その前に、そもそもスポーツを嫌いにさせてしまう可能性があります。

 私は、小学生のころは遊びでよく、中学ぐらいでいくつかのスポーツを経験し、高校ぐらいでひとつのスポーツを選択するぐらいが良いだろうと考えています。最初(小さいころ)は、いろいろなスポーツや運動、遊びを通して、からだの動かし方をたくさん経験し、習得していくべきです。多様なスポーツを経験すると、すべてが得意というわけにはいきませんから、負けることも経験できます。「自分は野球が得意だけれど、○○くんの釣りには全然かなわなかった」といった経験が大事です。「負けたものの痛み」を理解できなければ、たとえトップアスリートになっても人間としての魅力や幅は育ちません。レギュラー以外のチームメイトの気持ちを思いやることや、対戦相手を尊重することなど、スポーツを通して、人との関係を学ぶ、コミュニケーション能力を育てることができます。そうしたことが、もっと重視されてよいと思います。


「からだの周り」が便利になった生活を見直そう

 運動量と運動能力の低下の問題は、「運動」だけの問題ではありません。食と睡眠、つまりは子どもの生活習慣も大きく関係しています。

 1980年半ば以降、コンビニエンスストア、ファーストフード、冷凍食品はもちろんのこと、テレビの24時間放送やテレビゲーム、さらにはクリックひとつで欲しいものが自宅に届くインターネットなどが急速に浸透し、私たちの「からだの周り」はたいへん便利になりました。その反面、子どものからだは、さまざまな問題を抱えることになったのです。かつての子どもたちは、放課後たくさん遊び、お腹が空き、ごはんをたっぷり食べて、ぐっすり寝ていました。そして朝は気持ちよく起き、しっかり朝食をとり、徒歩で学校へ通い…を繰り返していたものです。ところが「からだの周り」が便利になったおかげで、運動はおろか子どもたちの食は乱れ、睡眠もおかしくなっています。朝食はとらないけれど、間食や夜食はたっぷり。ゲームのしすぎでなんだか疲れているけれど、からだは動かしていないから眠くならないなど…。

 からだを動かすこと、食べること、休むことは三位一体であり、どれが欠けても乱れても、からだとこころに変調をきたします。とくに子どもへの影響は深刻です。保護者は自分の家庭の生活習慣をときどき見直してほしいと思います。運動も、食事も、睡眠も、一気に改善しようと思うと大変です。そこで、そのなかの1つ、一番、改善しやすそうと思うことを見直していただければと思います。これらは相互に関係していますから、どれかひとつがうまく行くとほかもうまく行きだします。家族みんなでからだを使ったおもしろい遊びをしてみる、家族全員で料理を作って食べる、時間になったら部屋を暗くして寝るなど、どれかひとつをまずは始めてみてはいかがでしょう。

 参考までに、私が提案する「からだが元気になる10か条」を列記します。これらのうちから、各家庭の条件に合わせてひとつ実行してみると、それが子どものからだの問題を解決するきっかけになると考えています。


 からだが元気になる10か条


 
  
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