BERD 2007 No.9
【レポート】
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鈴木尚子
ベネッセ教育研究開発センター研究員

BERD
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教員勤務実態調査の報告
──教員給与改革に向けて明らかになったこと──
鈴木尚子[ベネッセ教育研究開発センター研究員]

  校教員に多忙感や疲労感が広がっている。
多様化する児童・生徒への対応、個に応じた指導、保護者などの外部対応に関わる業務の増加、報告書類や統計資料の作成などに追われているためだ。
 一方で、指導力不足教員・不適格教員の存在や、子どもたちの学力低下などに対する外部からの教員批判は止まらない。
 昨年度、40年ぶりに全国の公立学校の教員を対象に実施した「教員勤務実態調査」で浮かび上がった教員像を基に、解決すべき課題を整理した。
● 調査概要

[小・中学校調査]
調査方法
学校通しの郵送による自記式質問紙調査
調査時期
2006年7月〜12月(4週間を1期とし、6期に分けて調査)
調査対象
全国の公立小中学校2160校(各期小学校180校、中学校180校)の教員約5万人
 
 
【高等学校調査】
調査方法
学校通しの郵送による自記式質問紙調査
調査時期
2006年10月〜12月(2週間を1期とし、3期に分けて調査)
調査対象
全国の公立高等学校360校(各期120校)の教員約2万人
Q
教員勤務実態調査とは
 2006年6月2日に公布・施行された行革推進法により、人材確保法の廃止を含めた見直し、その他公立学校の教職員の給与体系についての検討が必要となった。文部科学省は、中央教育審議会に教職員給与の在り方を検討するワーキンググループを設置し、同時に実態調査を行うことにした。このような背景の下、昨年度、全国約6万人の教員を対象に労働時間や勤務の状況などを明らかにする目的で「教員勤務実態調査」が行われた。ベネッセ教育研究開発センターでは、東京大学から小・中学校調査の、文部科学省から高等学校調査の委託を受け、本調査を実施した。
 本稿では、教員勤務実態調査の結果を報告すると同時に、教員給与制度改革のために中央教育審議会で議論されている論点、本調査結果をふまえた議論の展開などを整理して示したい。
Q

教員給与の構造と給与改革審議の論点

 まず、前述のワーキンググループで話し合われた論点は、主に (1)人材確保法による給与優遇分の取り扱い、(2)時間外勤務への手当、(3)教員評価やメリハリのある給与体系の整備、(4)学校の管理運営等についてである。
 現在の教員給与は、どのような構造になっているのだろうか。
 本稿では教員の給与のうち、特に次の三つの点に注目したい(図表1)。一つ目は、70年代に制定された「人材確保法」により、一般行政職に比べ給与が優遇されている点。二つ目は、教員の勤務態様の特殊性を踏まえ、時間外の勤務に手当を支給しない代わりに、給料月額の4%が「教職調整額」として一律に支給されている点である。三つ目は、教員の指導力や勤務実績などが処遇に反映されにくくメリハリの乏しい構造になっている点だ。
図表[1]一般行政職と教員の給与比較
 二つ目の特徴と関連して、教員に時間外勤務は原則命ずることはできない。仮に、命じる場合は (1)生徒の実習、(2)学校行事、(3)教職員会議、(4)非常災害などのやむを得ない場合の四つに関わる業務(超勤4項目)に限定されている。したがって、現状でほとんどの業務については、何時間行おうとも、自由意志に基づくものとみなされている。「教員特殊業務手当」などもあるものの、部活動を4時間行っても1500円程度(地域により異なる)である。
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