家庭学習 指導のひとさじ

秋田市立城南中学校

◎1966(昭和41)年開校。秋田県内で、1、2を争う規模の学校で、部活動が盛ん。学区には、3世代同居の伝統的な農村世帯から都市近郊型の核家族世帯まで、多様な家庭が混在する。2007年度、同市の委嘱を受けて「確かな学力を育てる指導と評価の一体化」を研究した。


■校長:加藤義夫先生
■生徒数:702人
■学級数:22(うち特別支援学級1)
■所在地:〒010-0035 秋田県秋田市楢山城南町4-1
■TEL:018-834-2367
■FAX:018-834-2368

草g祥子

秋田市立城南中学校

草g祥子

Kusanagi Shoko
教務主任、国語科担当

石塚雅子

秋田市立城南中学校

石塚雅子

Ishizuka Masako
研究主任、音楽科担当

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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家庭学習 指導のひとさじ:秋田県 秋田市立城南中学校

学習は「団体戦」
校区全体で学習習慣を確立

生活習慣や家庭環境、心の安定までも含めて学習環境をとらえ、保護者と連携して家庭学習を充実させようとしている秋田市立城南中学校。
意欲が結果に結び付くような効果的な家庭学習のあり方を追求している。

保護者や小学校を巻き込み、「家で勉強」の習慣づくり

 意欲はあるけれども、学力に結び付かない生徒がいる。秋田県独自の学力調査の結果から、そうした課題が浮かび上がったのは2006年度のことだった。教務主任の草g(なぎ)祥子先生は次のように振り返る。
 「『勉強が好きだ』と回答しているにもかかわらず、得点が低い生徒がいました。意欲はあっても、具体的な学習行動が伴わなかったり、学習方法・学習習慣そのものに課題を抱えたりしている生徒も見られました」
 学習行動の基礎となる「学ぶための力」に課題があると考えた同校は07年度から家庭学習に力を入れる。
 「単に家庭学習のノウハウを伝えるのではなく、生活習慣や家庭環境を含めて、学習環境を総合的にとらえて改善していくための方策を考えました。家庭学習は個人のものと思われがちですが、『団体戦』で取り組むべきだと思っています。周りが勉強する雰囲気になっていれば、自分もやる気になる。教育活動全体を通して働き掛けることによって、生徒や保護者が共に家庭学習への意識を高めることができるのではないかと考えました」(草g先生)
図1 「家庭学習の手引き」保護者用チェックリスト

図1 「家庭学習の手引き」保護者用チェックリスト

「家庭学習の手引き」には保護者に対してメッセージ性の強い内容が盛り込まれている
 まず取り組んだのは「家庭学習の手引き」の作成だ。保護者向けのメッセージが充実しているのが特徴で、勉強机の確保や食事のバランス、決まった時間に机に向かうことなど、生活習慣に踏み込んだアドバイスや、それらがきちんとできているか確認するチェックリストなども掲載している(図1)。同校の保護者は学校への信頼が高いものの、それがかえって「勉強は学校でするもの」という意識になっている面もあるという。そうした保護者にも家庭学習の重要性を認識してもらうのがねらいだ。年数回のPTAでも、必ず家庭学習について説明している。
 また、家庭学習の定着には、小学校との連携も不可欠と考え、07年度から取り組みを進めている。校区の三つの小学校と「家庭学習の手引き」のデータを共有。各小学校ごとにカスタマイズ版を作成してもらい、校区全体で家庭学習習慣の定着を図っていくこととした。
図2 定期テスト学習計画表と家庭学習ノート

図2 定期テスト学習計画表と家庭学習ノート

定期テスト学習計画表
定期テスト前の2週間、5教科のどの内容をいつ勉強するのかを細かく記入する。実行したものには色鉛筆で印を付けていく

図2 定期テスト学習計画表と家庭学習ノート

家庭学習ノート
学年によって1または2ページ、生徒が毎日自習し、毎朝提出する。学習内容は生徒の自由だ。学級担任が褒めたり励ましたりするコメントを生徒たちは楽しみにしているという
※こちらから家庭学習指導ツールがダウンロードできます
■「定期テスト学習計画表」 一太郎ダウンロード(56KB)

以下のサイトから一太郎ビューアを無償ダウンロードしていただくと、一太郎をお持ちでない方も、ファイルを表示、印刷していただけます


一太郎ビューアダウンロード
一太郎ビューアダウンロード

一太郎は株式会社ジャストシステムの登録商標です。

 もちろん生徒の意識を高める取り組みにも力を入れる。「家庭学習ノート」(図2下)は、その核となる取り組みだ。始業式当日に1冊の大学ノートを全生徒に配布し、宿題とは別に自分で見付けた課題を学習させる。学級担任が毎朝点検し、コメントを一言添えて返却する。1年生の最初の定期テスト前には、学級担任がテスト勉強に向けた「家庭学習ノート」の活用の仕方を指導する。研究主任の石塚雅子先生はノートの意義を次のように語る。
 「家庭学習の習慣付けには、生徒と学級担任の信頼関係が欠かせません。学年によっては『家庭学習ノート』に1行日記などを書かせています。悩みや進路の不安を普段は言葉に出せない生徒が、『家庭学習ノート』を通して心の声を打ち明けることもあります。生徒の心の状態を把握し、信頼関係を深めるきっかけになります」
 更に、定期テスト前には「学習計画表」(図2上)を立てさせる。これも毎日決まった時間に机に向かう習慣を養うツールになっている。

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