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私大・法科大学院評価も実施
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大学評価・学位授与機構は、1998年の大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」を受け、国立学校設置法改正によって00年に設置された。教育研究活動を多面的に評価し、その改善に役立てることを狙いとし、主に国立大学を対象に実施している。そのため評価の手法は、大学の目的・目標に照らした自己評価をベースに、大学関係者や有識者からなる評価者が書面審査、ヒアリングなどを行う第三者評価形式を取る。評価は「学生に対する支援」「教育の達成状況」など項目ごとに行い、総合的な大学のランク付けなどは行わない。おのおのの大学の個性に合わせた、いわば「定性」評価といえる。
評価区分は、教養教育や社会貢献活動といった特定のテーマについて、全学を対象に実施する「全学テーマ別評価」と、学部・研究科別の「分野別教育評価」「分野別研究評価」の三つがある。00年度から試行事業を始め、昨年3月には、延べ149機関の国立大学、大学共同利用機関に対して行った初年度分の評価結果を公表。01、02年度分も現在進行中だが、当初予定されていた03年度からの本格実施は見送られた。学校教育法の改正によって、04年度から認証評価が導入されるためだ。
認証評価では、設置主体を問わずすべての大学が、文科省の認証した第三者評価機関のいずれかによる評価を受けなければならない。これに伴い同機構は、これまで評価の対象ではなかった私立大学にも門戸を広げる必要がある。また、法科大学院の専門分野別評価も行う予定だ。
一方、認証評価とは別に、04年度から独立行政法人化される国立大学には、運営費交付金の配分を目的とした評価システムが導入される。国立大学法人運営の総合的な評価については、文科省が設置する国立大学評価委員会（仮称、以下、評価委員会）が実施する予定だが、教育研究部分については同機構が担うことになる。
こうした新たな仕組みに対して、同機構の安間敏雄評価事業部長は「これまでの個性に応じた評価という基本的なスタンスは変わらないし、評価手法も従来のものを踏襲したものになる」と話す。
00年度の評価事業では、評価を受けた大学側から「大学の自己評価を追認したものが多い」「評価者によって評価基準にばらつきがある」「自己評価の作業負担が大きい」といった意見が寄せられた。また、公表される評価結果が大学関係者以外には理解しにくいという指摘もある。これらの課題を解決しつつ、年々改善を図っており、その内容は、新しい評価制度にも反映させていく方針だ。
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評価スケジュール面で他機関との連携を重視
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現在、評価機関として認証を受ける方向で検討している機関はいくつかあるが、「国と民間の中間機関として、今までの実績をもとに中核的な役割を果たし、他の機関の露払いとして認証評価の社会的認知度も高めたい」（安間部長）という。
法科大学院の認証評価については、今後、弁護士会など法曹三者を交えた「法科大学院の認証評価に関する検討会」で骨子を決めていくことになるが、その他の事業については検討が重ねられ、いくつかの課題も見えている。
一つは評価スケジュールの問題だ。認証は7年ごとだが、大学からの申請に基づいて実施するシステム上、年ごとに評価する大学数にかなりばらつきが出ると予想される。私立大学だけでも600校ほどに上り、申請が一つの機関に集中すれば、評価機関のキャパシティを上回ることもあり得る。
「他の評価機関と、互いに可能な評価実施数を把握し合う必要がある。また、中長期的に見れば、大学が複数の評価機関を利用することも想定されるため、どの機関で受けても、大学の改善プロセスが連続性を持って認識できるよう、機関同士である程度共通フォーマットを作成したほうがよいのではないか」と、安間部長は他機関との連携の必要性を訴える。
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認証評価は「教育中心」評価 財政基盤も評価項目に
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同機構独自の課題もある。04年度から独法化されるため、国からの委託である国立大学法人の評価事業と認証評価とを採算面で分離し、認証評価は独自財源で運営することになる。そのため、これまでの試行事業では徴収していなかった手数料を、認証評価では徴収する方針だが、他の評価機関との公平性を保つため、手数料の公平性にも配慮しなければならない。
しかし、何よりも大きな問題は、国立大学法人の運営費交付金に関わる評価事業（以下、法人評価）との兼ね合いだろう。法人評価では、同機構は、教育研究活動についての6年ごとの中期目標達成度評価と、研究業績などの水準評価を実施する。これらは認証評価とは別立てだが、国立大学にとって二つの評価を受けることは負担が大きく、「認証評価と法人評価を一本化できないか」という声が出るのは必至だ。そのため同機構では、「目標達成度評価と認証評価の評価項目を可能な限り共通化する」方向で検討を進めている。
これは、認証評価の対象となる私立大学にも少なからず影響を与えると考えられる。もともと私立大学は、設立目的や経緯の異なる国立大学と同じ基準で評価されることには抵抗がある。目的達成度評価との一部共通化が、それに拍車をかける恐れがある。
それに対して、安間部長は次のように説明する。「各大学の目的・目標に基づく評価は、個性に応じた評価なので、国私間の比較や単純な序列化にはならない。また、認証評価では研究なども評価項目としているが、法人評価における業績の水準評価とは異なり、研究するのに適切な教育内容が提供されているかといった、あくまでも教育の観点からの評価と位置付けている」。
認証評価で新たに設けられた管理運営についての評価も、財務諸表などを詳細にチェックするのではなく、適切な教育活動を継続するための財政基盤を持っているかを見ていくものだという。
また、研究分野では、業績や特定の評価を希望する大学にも対応できるよう、「研究実施体制の整備」「社会との連携、国際交流等」も選択項目として設けることを検討していく。
認証評価、法人評価の二つの評価の実施に伴い、作業量の増加も予想されるが、同機構では現行の体制を基盤としつつ、評価員の負担軽減のために業務の効率化を図っていくとの考えだ。しかし、スタッフ全員が国立大学からの2～3年間の出向者であるため、ノウハウを持った人材を機構内に蓄積することができない、独法化後にも出向を継続してもらえるか、という問題も抱えている。先行きはまだ見えていないのが実状だ。
同機構では、この4月に、大学評価事業の今後の在り方についての中間まとめを示し、今後、大学関係者や経済団体などに意見を求めていく予定だ。
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