特集 志望校はこう選ばれている

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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わが子の進路選択ストーリー CASE 2

首都圏の中規模大学 人文系学部1年生(女子)の母親

入試形態 ● AO入試
出身 ● 中国地方の公立高校
通学(住居)形態 ● 一人暮らし(大学寮)

キャリア教育と英語教育の充実度を条件に
ネットで絞り込み

[ 「マスコミなら東京の大学に」 ]
 娘は、文章を書くことが好きで、将来マスコミ関係の職業に就きたいと話していた。2年生の頃は関西の大学を考えていたが、3年生になって東京の大学に行きたいと言い出した。職業研究や大学研究をするうちに、マスコミ関係の仕事をするためには東京の私立大学でないと難しいと思ったようだ。マスコミに強いといわれる早稲田大学や慶應義塾大学を志望するようになった。「文章に関わる仕事をするなら、文学部で日本文学を」と考えていた。
 親としては、知名度や偏差値にとらわれずに、様々な体験と出会いができる大学に進んでほしかった。大学で何を学び、その先はどうするのかという「大学へ行く姿勢」について話し合った。マスコミ関係の仕事をしたいなら、社会学部で見聞と知識を深める方がいい、と勧めた。しかし、最終的には、東京で日本文学を学びたいという娘の意思を尊重した。経済的な事情だけは譲れないため、奨学金を利用し、できれば寮に入るという約束をした。

[ 高校に私立の情報は皆無 ]
 通っていた高校は地元の国公立大学を勧める進路指導をしていて、三者面談では娘の意思を尊重するような意見は聞けなかった。先生は有名私立大学についてすら詳しくなく、適切なアドバイスを受けられない状況だった。
 クラスメートの大半が国公立志望ということでの迷い、1人で東京に出ることや学力への不安もあり、娘は東京の大学に決めつつも、受験直前の12月まで迷いを吹っ切れなかった。最後の三者面談でようやく志望校を絞り込んだ。私自身は、娘が都会の大学に行くのは不安だったが、一番大切なのは本人の夢であり、いずれ自立していくのだからと、決断を後押しした。
 高校を頼りにできなかったので、主にインターネットで娘に合いそうな東京の大学を調べた。教育理念も重視しつつ、キャリア教育と英語教育が充実していること、寮があることを条件にして絞り込んだ。今の高校生はキャリア意識が低いので、低学年から力を入れて教育しているかを特に重視した。そうして見つけたのが、今の大学だ。

[ 学生の生の声がもっと知りたい ]
 日本文学が学べること、教育理念に共感できたこと、キャリア支援が充実していることが、今の大学を選んだポイントだ。様々な入試方式の中でAO入試は評価基準が複数あり、娘にとって受験しやすいと思った。併願もできるため、合格すれば精神的に安定して、他大学の一般入試にも挑戦できる。いろいろと条件がそろっていた。娘に勧め、受験することになった。
 娘の受験を通して痛感したのは、本当に欲しい情報は案外ないということだ。どの大学のウェブサイトでも、ゼミで何を学べるのか、学生がどんな生活を送っているのかということが紹介はされていても、娘にあてはめたときの具体的なイメージがわかない。これらについては、学生の生の声を通して知りたいと思った。


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