特集 志望校はこう選ばれている

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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わが子の進路選択ストーリー CASE 3

首都圏の文系総合大学 社会科学系学部1年生(男子)の母親

入試形態 ● 一般入試
出身 ● 北陸の公立高校
通学(住居)形態 ● 一人暮らし(アパート)

浪人覚悟の大学選びを勧めたが
本人は「浪人は絶対、嫌」

[ 文転して法学部を目指す ]
 息子は、2年次の文理選択で、理数科目の成績がいいという理由で理数コースを選んでいた。当初、大学も理系の学部を考えていた。しかし、もともと法律に興味があったこと、3年生になって国語と英語の成績が伸びたことから、9月に文系志望に変わり法学部を目指すことになった。
 私たち夫婦は東京出身で、息子も東京で生まれ育ったため、自然に東京の大学の中から選ぶことになった。夫が難易度だけで大学を決めたことを後悔していたため、息子には、1回なら浪人してもいいから、難易度に関係なく自分が納得できる大学を受験すればいいと伝えた。

[ 校風を重視して口コミ情報を収集 ]
 志望校選びは、基本的に息子に任せていた。ただ、法学部のある大学は東京には山ほどある。そこから絞り込むのは大変だったようで、「自分にはどんな大学が向いているのだろう」と相談してきた。話を聞くと、大学の校風を一番気にしていた。4年間過ごすからには自分に合うところを、と思ったらしい。小学生の頃からYMCAの活動をしていたため、ミッション系の大学が合うのではないかとアドバイスした。
 文転のため、センター試験が5教科7科目の国公立大学を狙うのは現実的に厳しく、最初に候補から外した。評定平均値が足りなかったので、推薦入試も考えなかった。おのずと私立大学の一般入試に絞られていった。ただ、入試までに社会科科目の学力を私立文系レベルに上げるのは難しいと考えた。国語、英語、数学の3科目で受験できるミッション系の大学を探すと、3校にほぼ絞られた。
 大学案内やウェブサイト、受験情報誌で比較したが、最も頼りになったのは知人からの評判だ。親戚や友人の中にこれらの大学を出た人がいたので、電話で主に校風について聞いた。授業内容は大学案内などを調べればそれなりに分かるし、時代のニーズに合わせて変わっていく。しかし、校風は10年や20年では変わらないし、実際に通った人でないと分からないと思ったからだ。

[ 一緒に過去問を解き、助言 ]
 知人から聞いた話は、そのまま息子に伝えた。結果的に、親の知らない大学は受験しなかった。本人は「浪人は絶対にしたくない」と言っていたので、安易に志望校を選びはしないかと心配していたが、杞憂に終わった。今通っている大学は知人の間で一番評判が良かったので、合格してほっとした。
 受験校の国語と英語の過去問を、私も解いた。もちろん、子どもと同じようにできるわけではないが、出題意図をつかむことはできるし、気付いたことは息子に伝えるようにした。私自身も「こういう問題が出るんだ」と確認できて、一緒に受験しているような気持ちになって安心できた。


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