特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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 テーマ2:ポリシーをどう明確化するか

 Case1 広島大学

目標の到達度を評価する
教育プログラムを導入

学生や大学を取り巻く社会情勢の変化に対応するため、広島大学は「到達目標型教育プログラム」を開発した。卒業時の到達目標を明確にし、学生個々の到達度を学期末ごとに評価。学生の質の保証を可視化する。

到達目標の明確化と同時に教育の内容も可視化

 広島大学が、到達目標型教育プログラム「HiPROSPECTS®(ハイプロスペクツ)」(Hiroshima University Program of Specified Education and Study)を始めたのは、2006年のこと。この構想が生まれたのは国立大学法人化前にさかのぼる。育成したい人間像を明確にした上で体系的な教育を提供し、社会のニーズに応じた質の高い学生を育成しなければ、来るべき全入時代に対応できないのではないかという危機感があった。
 そして、数年の準備期間を経て生まれたのが、「HiPROSPECTS®」だ。卒業時の到達目標を明確にし、その目標達成のための体系的なプログラムを学生に提供。このプログラムを通して、学生は自分がどのような人間になりたいのかを具現化し、そのために足りない力を授業で補うことができる。各学期末には、定められた目標に対する到達度を評価し、学生一人ひとりを丁寧に指導する新しい教育システムだ。
 「HiPROSPECTS®」を構成するのは、学士を取得するための「主専攻プログラム」、学士に匹敵する力を修得できる「副専攻プログラム」、特定のテーマの学習や資格取得を目的とした「特定プログラム」の3つ。核となるのは「主専攻プログラム」だ。専攻やコースごとにプログラムが設定され、学生は入学と同時(プログラムによっては1年終了時またはその後)に1つのプログラムを決定する。
 同大学の学士課程教育の企画・実施の中心を担う「学士課程会議」の議長を務める棚橋健治教授は、「卒業時までに身に付けることのできる力を明らかにすると同時に、教育の中身を可視化しているのが特徴。社会に向けて『広島大学の学生は、こういうふうに学んで、こんな力を身に付けているから、社会に役立つことができる』と具体的に発信できる」と述べる。
 また、「出口」の目標と教育内容を決めることにより、高校生に「こういう力を身に付けたいと考えている生徒を求めている」と明示できるようになった。
 つまり『HiPROSPECTS®』は、一つのプログラムを通して、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーをそれぞれ明確化し、連携させたものだといえる。

図

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