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 10月からの受験指導

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効果的な取り組みのための手順とポイント4

10月からの受験指導

志望校合格に向けた学習指導・進路指導とは

 入試本番が近付く3年生2学期以降は、生徒の受験意識が高まると共に、精神的に不安定になりやすい。この時期から3月までの学習の仕方、受験校決定の取り組み方が、結果に大きな影響を及ぼす。そのため、それぞれの時期に合った適切な指導を、綿密に計画を立てた上で行うことが求められる。今回は、生徒の望みを最大限にかなえられる方向にもっていくための学習指導、進路指導を考える。


■part 1■ 生活指導
最後まで頑張るクラスの雰囲気をつくり上げる

 秋になると受験本番に向けて、クラス全体に緊張感が出てくる。このクラスの雰囲気が生徒一人ひとりの学習態度に与える影響は想像以上に大きい。全体が弱気になったり、諦めたりしない「最後まで頑張るクラス」をつくりたい。放課後、生徒を一緒に勉強させて、みんなで頑張る雰囲気にするのも有効な方法だ。できる生徒には、他者に教えることで自分自身の知識が整理されるというメリットを強調して、その輪に加わるようにさせる。
 反対に、雰囲気を後ろ向きに引っ張る生徒が出ることもある。最初は数が少なくても、ある程度の数を占めると、クラス全体が易き方向に流れてしまい、総崩れとなってしまう。悪いムードの芽は早く摘み取るために、補習を無断で欠席する生徒や授業態度の良くない生徒が出たら、早い段階で個別に呼んで士気を高めさせたい。また、推薦入試で合格した生徒が現れると、早く受験勉強から抜け出したいという安易な気持ちから志望校変更を考える生徒が出てくる。目的のないまま志望校を変更しないよう、指導していきたい。
 また12月以降は、体調を崩すと受験勉強に響く上、精神的な焦りにもつながる。健康管理をしっかりするよう伝えて、規則正しい生活を送らせたい。特に冬休みに入ると勉強を頑張るあまり、生活リズムが崩れやすい。十分に睡眠を取り、朝早く起きて、試験の行われる朝や昼間に勉強するようアドバイスする。
 保護者に対しては、子どもに自然な態度で接してもらうようお願いをする。腫れ物に触るように接すると、その空気はすぐに子どもに伝わる。また、「A大以外はだめ」とプレッシャーをかけたり、休憩中に「余裕あるわね」と皮肉を言うなど、心ない言葉は慎んでもらう。

図 ● 進路決定で生徒が必要とする情報
進路決定で生徒が必要とする情報

生徒が一番欲しい情報は「興味・関心に合った勉強ができるか」であるが、同じレベルで「難易度」や「出題傾向」も重視している。
*ベネッセ文教総研『高校生の自己理解と進路展望』(1998年刊)より


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