VIEW21 2001.02  特集 高校に迫りくるIT化の波

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Q3 インターネット利用の工夫

校内に引かれているインターネットの回線の容量が小さくて、1度に10人くらいしか利用できない。NTTのインターネット接続サービスOCNなどの常時接続形態にしても、使用できる人数こそ多くはなるが同様の問題があると聞く。コンピュータ教室でのインターネット利用の良策とは?

A
 現在、高校に引かれている回線はデジタル通信に適したISDNが最も多い。しかし、同時に10台程度のパソコンがインターネットにアクセスすると急激にスピードが落ちてしまう。これでは、せっかくのコンピュータ教室も活用し切れないという状態になってしまう。これに対して、実際に行われている解決策をいくつか紹介しよう。
 まず一つ目は、ホームページをパソコン内に保存して見る方法。電話回線を介さないので、回線の容量などは関係ない。しかし、基本的に一つのホームページしか見ることができないのが欠点で、リンク先のホームページも見ることができない。保存の手順は、インターネットエクスプローラ(Ver.5)の場合、目的のホームページにアクセスしたら、(1)メニューバーの「ファイル」から「名前をつけて保存」の「Webページの保存」を選び、(2)ファイルの種類を「Webページ、完全(*,html,*,html)」で保存する。これで回線がつながっていなくても、保存されたHTMLファイルを開けば、見ていたホームページをパソコン画面に表示することができる。
 二つ目は、クラスをいくつかに分けて授業を進める方法。「大学案内などの冊子を使って調べるグループ」と「インターネットを使って調べるグループ」などグループに分ければ、同時に接続する人数を減らすことができる。

Q4 セキュリティと不良サイトへのアクセス制限

学校内のパソコンを生徒にも使わせることになったのだが、セキュリティやインターネットの不良サイトへのアクセスへの可能性を問題視する声が挙がり、生徒への開放は棚上げされている。この場合、どういった対応が考えられるだろうか?

A
 まず外部からの侵入に対するセキュリティの問題に関しては、学校内の回線がISDNや通常の電話回線を使用している場合、ほとんど問題はない。しかし、OCN(NTTのインターネット接続サービス)やケーブルテレビの回線を使ったインターネットの常時接続サービスを利用している場合、学校のデータが外部から覗かれたり、学校関係者になりすまして勝手にメールを他者に送られたりする危険がある。これらの危険を避けるため、通常は外部からの侵入口となる箇所に「ファイヤーウォール」(防火壁)を設け、侵入をシャットアウトすることが必要だ。具体的には、外部向けのデータを管理しているサーバーにセキュリティソフトをインストールして制限をかけたり、ファイヤーウォール用のハード機器を設置して管理する場合が多いようだ。機器の値段は接続するコンピュータの台数などによって様々である。
 また、セキュリティの面からは、外部からの侵入に対してだけでなく、学校内部のデータ管理も必要となる。生徒が使うパソコンやLANには、「個人情報や外部から見られてはいけない情報を置かない」ことが最低限必要だ。
 有害サイトについては、県のセンターサーバーで一括管理をし、見られないようになっているところもある。学校ごとに管理する場合は、ホームページの閲覧に制限をかけるセキュリティソフトを導入する方法がある。

Q5 保守管理

最近、校内全体に置かれるパソコン台数が増えつつあり、新しく導入したパソコンと古いパソコンのOS(基本ソフト)のバージョンが異なっている。また、校内にLANを引き、それらのパソコンをつなげて情報の共有化をするという話も出ている。他校ではそれが普通だというが、しかし、そんなに多くのパソコンを、誰がどうやって管理しているのだろうか?

A
 ほとんどの高校では、今のところ特定の小人数の教師が保守管理をしている。しかし、コンピュータ教室の設置に伴い同時に40台以上のパソコンを導入したり、あるいはLANを組んだため情報をメインとなって管理するサーバーなどの管理が必要になったなど、さすがに少数の教師の手に余ると判断された場合、地元の専門の業者やパソコンを購入した販売店に保守管理を依頼している高校もあるようだ。
 実際に保守や運用で時間が必要となるのは、ソフトウェアのバージョンアップやデータの更新、ファイルの管理などである。1台あたり数十分で済む作業でも、その台数が40を超えれば丸1日かかってしまうこともある。簡単なインストールならば、パソコンの扱いに慣れているパソコン部や科学部などの生徒に手伝ってもらうことも考えられるが、成績に関する個人情報やセキュリティに関する場合は、やはり業者に頼むことになるようだ。
 このとき、できるだけ同じ業者に継続して頼むようにしたい。コンピュータの環境は少し違っているだけで対応が大きく変わる場合もある。自校の環境をよく知る業者に頼むのが得策だ。


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