VIEW21 2001.02  特集 高校に迫りくるIT化の波

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授業、進路学習、成績処理、
様々な場面でコンピュータが活躍

 現在、同校ではコンピュータを事務処理、授業、進路指導など、様々な領域や場面で活発に使用している。
 教師の事務処理の利用に関して、一番効果を発揮しているのは成績処理である。従来のような書類のやり取りに代わって、パソコン上で入力したものを教務部のコンピュータで処理している。
 「教科担任、クラス担任は従来の煩雑な作業から解放され、その分生徒へのよりきめ細かい指導に時間を割くことができます」(和田先生)
 また、生徒がどの大学に進学したか、どの企業に就職したかという進路情報もコンピュータで管理、さらに成績処理、学籍管理、進路情報の管理の三つの業務を一つのソフトで行えるようにした。このソフトは外部の専門家に制作を依頼したという。
 授業に関しては、次のような場面でコンピュータが活用されている。
 英語では、国際交流を続けているタイの高校の生徒と電子メールの交換を実施。地歴・公民では、インターネットによる調査学習を行っている。特に、地元新聞が最新の記事から古い記事まで無料で公開しているデータベースを活用しているという。理科でも同じように、インターネットを調査学習に活用し、理科系出版社のデータベースから天気図などを引き出すこともあるという。
 国語を教える和田先生は、授業の中で電子メールを使って課題を提出させている。
 「従来は、単元が終わるごとに復習プリントを作って授業内容を確認していました。そのプリントをメールに置き換えたんです。事前にマルチメディア教室のパソコン1台1台に問題を送信しておき、『次の授業はマルチメディア教室で課題をやるぞ』と生徒に言っておくんです。次の授業、生徒はマルチメディア教室へ行き、メールを開いて自分のノートや教科書を参考にしながら問題を解いて、私にメールで返信するという仕組みです」
 進路学習にもコンピュータは使われている。一つは外部へのアクセスである。生徒が、大学や企業のホームページから必要な情報を手に入れるのに使っている。推薦入試で大学の志望理由を書くに当たって、その大学のホームページを見て情報を得る生徒もいるそうだ。
 もう一つは校内へのアクセスだ。同校では進路関連情報用のデータベースを立ち上げ、指定校推薦入試の情報、企業から来る求人票などを、生徒がそこで閲覧できるようになっている。
 「進路指導部では、特にコンピュータを使うようにと指導しているわけではありませんが、生徒は自分からどんどん使っています」(進路指導部長・蒲原義人先生)
 各クラスごとにパソコンが1台置いてある同校では、希望すれば生徒も個人でメールアドレスをもらうことができ、日常でコンピュータを使用しやすい環境を実現している。だからこそ教師の指示がなくとも、自然と生徒は情報を得るためにコンピュータを使うことになる。

図1 運営組織図


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