VIEW21 2001.06  特集 授業と家庭学習の連結を考える

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授業と家庭学習の連結を考える

生徒を「自発的な学び」へと導くために

 '02年度からの週5日制を目前に控え、授業と家庭学習をいかにうまく結び付けるかは教師の頭を悩ませる大きな課題の一つと言える。単に課題や宿題を与える量を増やすのではなく、生徒のモチベーションを育みつつ、いかに「自発的な学び」へと導くか。ベネッセ文教総研が行った「学力到達度評価共同研究」の研究成果を基に考える。


 現在、多くの高校では'03年度のカリキュラムづくりが行われている。新課程にさきがけ、'02年度からは週5日制が始まるが、その対応も急務であり、高校現場は現在、いくつもの課題が山積している状況だと言える。
 そのような中、おぼろげではあるが'02、'03年度への方向性も見え始めている。ベネッセ文教総研の調べでは、国公立大学への進学者の多い高校では、'03年度におけるカリキュラム編成は、おおよそのところ32単位×3年間で96単位の履修で落ち着くものと見られる(そのうち、英語、数学、国語の3教科に関しては、50%±2%の範囲でおさまるものと現段階では予想される)。現行課程では、ほぼ34単位×3年間で102単位の履修がなされていることを考えると、履修単位数の減少が見込まれる。
 また、必修と自由選択の科目の比率で見ると、自由選択科目の割合が多いケースでも、5対1程度になることが予想されており、今後カリキュラム編成がさらに具体化していく中で、必修の割合を一層増やそうとする動きが出てくることが考えられる。

週5日制へ向け積極的に対策を立てている学校も

 ベネッセ文教総研が'01年1〜2月に行った「'03年度カリキュラムの検討状況アンケート」の結果を見ると、週5日制において、「土曜日を完全休日にする」と回答した高校は全体で71%、公立では83%に上った。
 '02年度のカリキュラム編成を考える上で、授業時間が減っても、生徒の学力を維持、向上させるためにどうすればよいかということについては、どの高校も頭を悩ませている大きな課題の一つだと考えられる。
 そのような中、土曜日を有効に利活用しようと積極的に動き出している高校も出始めている。例えば、東京地区の私立高校の37%、九州地区の高校全体の22%は、「休日に学力向上への取り組みを何らかの形で行う」と決定、あるいは検討していることが、先に挙げたアンケートの回答状況などから分かっている。
 学校を開放し生徒に自主学習する場を与えるのか、それとも希望者を対象とする自由選択の講座を開設するのか、また何らかの週末課題を与えるのか、といった具体的な取り組み方は、学校の方針によって異なると思われる。
 いずれにせよ、このような動きは今後さらに詳細な取り組みの検討へ進むものと考えられる。それぞれの学校で、いかに生徒に土曜日を有効に過ごさせるかを具体的に考え、実行に移していくことが大きな課題になるだろう。


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