VIEW21 2002.2  今日と明日の活力をもたらす創意工夫
 学校活性のヒント 徳島県立脇町高校

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「担任会」を中心とした生徒指導

 一方、「スタディーサポート」の結果は、各クラス担任が生徒指導に活用するだけでなく、学年全体で生徒の情報を共有したり、学年全体の学力傾向を把握するのにも活用されている。その際に重要な役割を果たすのが、学年ごとにクラス担任が運営している「担任会」の存在だ。
 「『担任会』は、生徒の様子をきめ細かく把握するために、週1回必ず実施しています。特に『スタディーサポート』のデータについては、生徒に返却する前にまず『担任会』に回し、そこで生徒一人ひとりの学習習慣、生活習慣をチェックし、何らかの問題がある生徒については、この時点ですぐに面談を行うようにしています」(岡田先生)
 これにより、学習態度に問題のある生徒の早期発見はもちろん、教師が学年としての共通の課題を把握することも可能になるのだ。そして、『担任会』を中心とした生徒指導は、導入期だけではなく、高校3年間を通じて継続される。
 「徳島県では、教師の異動が多く、クラス担任の半数が新任者ということも珍しくありません。各教師が情報を共有し、適切な生徒指導を行っていくために、本校の『担任会』は極めて重要なものなのです」(岡田先生)
 こうしたきめ細かな指導スタイルは同校が '96年度から取り組んでいるディベート指導など、学校ぐるみの取り組みにも効果を発揮している。生徒気質の変化が叫ばれる中、岡田先生は「本校では生徒の質の変化は感じられない」と言い切るが、それも、生徒の様子をきめ細かく把握しているからこそ出てくる発言と言えるだろう。生徒一人ひとりをしっかり見るという理念は、今後も同校の教師一人ひとりの心の中に、脈々と息づいていくことだろう。


▼スタディーサポート1年生第1回/
「学力リサーチ」と「学習状況リサーチ」の結果から、入学段階でのクラス担任による個別指導や日常のコミュニケーションなどをサポートする。


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徳島県立脇町高校教諭
岡田善史
Okada Yoshifumi
教職歴20年目。同校に赴任して11年目。進学課長。生物担当。「生徒の指導に当たっては、生徒と共に学校教育をつくっているのだという、『プレイヤー』としての視点を大切にしたい」
徳島県立脇町高校教諭
武田伊織
Takeda Iori
教職歴16年目。同校に赴任して12年目。教務課長。国語担当。「努力は必ず報われる、と生徒に訴えています。結果重視の歩き方ではなく、一歩一歩の価値を踏み締めながら進んでほしい」
徳島県立脇町高校教諭
宮本明浩
Miyamoto Akihiro
教職歴14年目。同校に赴任して4年目。進路課。数学担当。「生徒の心を開くためには、生徒と同じ目の高さで話をすることが大切。生徒との信頼関係を大切にしたい」

徳島県立脇町高校
1896年創立。共学の普通科高校。全校生徒数は840名。'01年度入試では、東京大4名、大阪大5名、徳島大44名など、国公立大に合計173名が合格。私立大には立命館大26名など合格者多数。
住所/徳島県美馬郡脇町大字脇町1270−2 電話/0883(52)2208


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