VIEW21 2002.9  特集 学校改革のビジョンづくりに向けて

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――Research-PDCAサイクルの構築をめぐって――

学校改革のビジョンづくりに向けて

 教育環境が大きな変化を続けていく中で、生徒、保護者の願いに応えられる魅力ある学校づくりを目指して、多くの学校が自己変革の努力を続けている。学校を構成する、生徒、保護者、教師それぞれの視点を大切にした学校の新たなビジョン作りと、その実現に向けた取り組みの自己点検・自己評価の考え方、変化する時代にふさわしい学校のPDCAサイクルの在り方を探る。


Opinion 1
自己点検・自己評価が求められる背景

自由化・個性化・多様化

 教育課程審議会の「答申」によると、学校の自己点検・自己評価は学校の「責務」として実行すべきであるとし、その内容として(1)教育課程の編成と実施状況、(2)学習指導方法の改善、(3)児童・生徒の学習状況の把握などを示している。
 1997年、行政改革委員会は「規制緩和(自由化)についての論点」で、教育改革の視点として、学校選択の弾力化や教育内容の多様化などを提示した。しかし、「皆同じ教育内容を持つ学校」であれば、学校選択の弾力化は現実的な意味を持ち得ない。
 教育現場で推進されている教育改善の動き=「特色づくり」は、こうした流れを受け止める形でここ数年、教育委員会主導で展開されてきた。
 これまで、「学校」、特に小中学校での教育活動は同質性の原則によって支えられてきた。「自由化・個性化・多様化」という同質性原則に対する批判的なメッセージが教育改革全体のトーンとなっているが、その到達点は必ずしも明らかではない。生徒・保護者が主体的に学校を選択できる条件整備の一つとして、高校入試制度の改善や学区制の見直しが教育委員会を中心に、少子化に伴う高校再編成といった現実的課題と絡み合いながら、ようやく始まったことがこの間の事情を物語っている。


写真
ベネッセ教育総研 岡山本部 所長
高田正規
Takata Masanori

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