ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
目標に向かって前向きにチャレンジする姿勢を育てる
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プログラムの
内容は、大きく「大学特別講座」と「高校内各種プログラム」に分けられる。大学特別講座は、系列大学において同講座のために準備された独自の講義を受講できるもので、02年度は「世界の民話を学ぶとは」「アメリカのキリスト教」「自分理解の心理学」など10コマを2日間に分けて開講。大学の雰囲気や90分の講義を体感することができる。
 一方、高校内各種プログラムは、奉仕活動や国際交流、リーダー研修、パソコン入門、生け花教室など幅広いテーマを扱った自由参加のプログラムである。プログラムの開始に当たっては参加希望者を募り、生徒は複数回、場合によっては、すべてのプログラムに参加することもできる。02年度は26プログラムが実施されたが、1か月に渡って行われる高校内各種プログラムは、チャレンジプログラムのメイン行事となっている。
 谷口先生が語るように、チャレンジプログラムは生徒の自主的な参加によって成り立っている。例えば、「図書館司書体験」。選書会議や展示、蔵書印などの装丁、レファレンスなど、生徒たちは単に図書館業務について教わるだけではなく、レファレンスを通して情報を検索する技術も身に付けることができる。また、老人ホーム訪問、近隣地域の清掃、総合病院での看護師体験など奉仕の精神を養う機会が多いのも特徴だ。病院を訪れて歌や音楽で入院患者と交流する「愛のキャラバン隊」は、NHKのTV放送や多くの新聞で取り上げられて話題を呼んだ。
 中高一貫教育の利点を生かしたプログラムも設けられている。中1生の英語の授業をサポートする「中1英語授業のアシスタントになろう」では、高3生が授業中に中1生の教室を回って、板書の写し間違いをしていないかをチェックしたり、簡単な質問に答えたりする。このプログラムに参加する高校生は、中学生にとっては「生きたお手本」でもある。
 谷口先生と共にチャレンジプログラムを発足から支えてきた英語科主任の木村智昭先生は、学習面にまで踏み込んだプログラムの相乗効果に期待を寄せる。
 「中学生にとっては、教師より先輩に教えてもらう方が学習に対する意欲が高まることもあります。生徒たちは先輩への尊敬の念や憧れの気持ちが強いですし親近感もありますからね。また、プログラムに参加する高校生にとっては、模範的な上級生として後輩の指導に当たることで、社会的な責任感や教えることの難しさを学ぶことができるのです」
 こうした奉仕的な活動や上級生としての自覚を促す取り組みが功を奏し、多くの生徒が以前よりも礼儀正しく、言葉遣いも丁寧になったという。生徒の事後アンケートでも、「看護体験を通してコミュニケーションの大切さを学びました」「保育体験によって優しさや素直さを思い出しました」「英語アシスタントをして、受験勉強で忘れていた英語の楽しさを思い出しました」といった感想が数多く寄せられた。看護体験に参加した生徒の中には、大学進学後にボランティアサークルに入り、将来は福祉関係の仕事に就きたいと言い始めた者もいる。チャレンジプログラムを通して人生の新しい目標ができ、大学生活に対するモチベーションが向上しているのだ。
写真 図書館司書体験では、1週間に渡って図書館業務を体験。「図書館司書の資格が取りたくなった」「図書館の利用法が分かった」と、図書館をより身近に感じる生徒が多くなった。
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