ベネッセ教育総合研究所
シラバスの活用 家庭学習習慣を身に付けるシラバス
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3 シラバスと「学習計画表」を一体活用
 学習計画の立案にシラバスを使う――。その習慣付けを図るための工夫はもう一つある。それは、長期休暇中等の学習計画表が、シラバスと共にファイルに綴じ込んであることだ。進路指導主事の原浩明先生によれば、学習計画表は単に「スペースがあったから」という理由で綴じ込んでいるわけではないようだ。
 「学習計画表は従来からあったのですが、本当の意味でそれを使いこなすためには、授業の今後の見通しや今までの学習状況を生徒がきちんと把握できるようになっていなければならないと思います。シラバスと一緒に学習計画表を渡し、機に応じて提出させることで、『シラバスの確認→学習計画の立案』という流れを身に付けさせたいと考えています」
 また、同校の学習計画表で特徴的なのは「夏休み」「冬休み」というように時期を区切った計画表となっていることだ。あえて1年分の計画表をつくらなかったのもシラバスを実際に活用するシーンを想定してのことだという。
 「中・長期スパンの学習計画を示したシラバスを、毎日生徒が見るというのは現実的な想定ではありません。むしろ、シラバスを踏まえた学習計画が真に必要になるのは、教師がこまめに生徒の状況を見てやれない長期休暇ではないでしょうか。計画的に学習することの意味と必要性を、シラバスを使った学習計画表の作成を通じて身に付けてほしいと思います」(平野教頭)
図3
各教科のシラバスは1年ごとの分冊となっており、それを次々とファイリングしていく形式。別の学年の情報は、各教室に配付しているCD-ROMで確認できる。年度途中の追加や差し替えはもちろん、生徒が独自の工夫を加えて活用することも可能。
 このように、同校のシラバスを詳細に検討すると、そのフォーマットや記述内容はもちろんのこと、実際の活用シーンまで想定して作成されていることが見えてくる。生徒の自学自習に実際に「使えるシラバス」を構築する上で、同校の事例が示唆するところは大きいのではないだろうか。


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