ベネッセ教育総合研究所
特集 学力多層化への対応
水野謙二
愛知県立岡崎高校
水野謙二
Mizuno Kenji
教職歴29年目。同校に赴任して22年目。進路指導主事。「新渡戸稲造の言葉『義を見てせざるは勇なきなり』の精神を生徒に伝えたい」
川島洋
愛知県立岡崎高校
川島洋
Kawashima Hiroshi
教職歴29年目。同校に赴任して12年目。1学年主任。「学校は人間を育てる道場という理念を持ち、誠実な気持ちで生徒を育てたい」
小嶋輝久
愛知県立岡崎高校
小嶋輝久
Kojima Teruhisa
教職歴25年目。同校に赴任して15年目。3学年主任。「世のため人のために頑張れるような生徒を育てていきたいと思っています」
中神正幸
愛知県立岡崎高校
中神正幸
Nakagami Masayuki
教職歴24年目。同校に赴任して11年目。2学年主任。「労を惜しまず、常に努力して自分を磨けるような生徒を育てたいです」
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生徒の活力を引き出し
一人ひとりの学力を向上させる

学力層の広がりに対応するためには、各層の生徒の状況をつかみ、層別に適切な指導を行うことが欠かせない。上位から下位まで、各層を意識した取り組みで全体の引き上げを図る愛知県立岡崎高校、下位層の自学自習力涵養に注力する鹿児島県立川内高校の事例を紹介する。
愛知県立岡崎高校


生徒の活力を引き出すための教育活動を不断に実践していく
 岡崎高校は、創立100有余年の伝統校であり、愛知県三河地区にあって例年30名以上の東大合格者、80名前後の名古屋大合格者が輩出する全国有数の進学校である。また部活動も盛んで、1年次の加入率は120%(複数登録者含む)。陸上競技部、コーラス部では全国大会での実績を持つなど、文武共に秀でた実績を上げている。
 進路指導主事の水野謙二先生は同校の教育方針について、次のように語る。
 「本校の指導の根幹は、『生徒の活動の原動力となる活力を引き出していく』ことにあります。そのため、生徒全員が部活動、学校行事など学校全般の活動に積極的に取り組み、学び舎としての学校を好きになってもらうことを前提としているのです。学校生活を通して、生徒の学校への帰属意識を高めると共に、集団の中で互いに切磋琢磨させながら、生徒の人間的な成長を図っています」
 この方針は、学習指導面にも貫かれている。同校の生徒育成の大前提は、あくまで「生徒全員を最後まで引き上げる教育」(水野先生)であり、全ての学力層の生徒に対して学力向上への徹底的な取組みが展開されているのだ。その結果として、04年度入試においても、現役国公立大合格者237名、東京大合格者31名(うち現役19名)、名古屋大合格者99名(うち現役82名)という顕著な実績を上げた。
 岡崎高校の学区内には岡崎市、安城市、豊田市、西尾市などがあるが、生徒のおよそ半数は人口35万人の岡崎市在住であり、決して大きな学区人口というわけではない。それにもかかわらず、生徒育成において実績を上げ続ける同校の強さの源泉はどこにあるのだろうか。水野先生は「教師の熱意とそれに応える生徒など、厳しさの中に『人』を軸とした信頼関係があり、それを基に教育活動が展開されているところにある」と強調する。
 「本校の指導は『まずシステムありき』ではありません。生徒育成に対する教師のたゆまぬ熱意と教師としての自覚(誇り)、その裏にある人間教育を重視する校内風土が本校の強みになっているのです。そして、教師が連携して『生徒の活力を引き出す』指導を心掛けていることが、学習活動・部活動両面で実績を上げ続ける力の源泉になっているのだと思います」


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