ベネッセ教育総合研究所
特集 学力多層化への対応
平山拓磨
鹿児島県立川内高校
平山拓磨
Hirayama Takuma
教職歴15年目。同校に赴任して8年目。進路指導部主任。「自分はできるという自己肯定力を持って、生きていける生徒を育てたい」
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自学自習力を養成し
下位層の生徒のフォローアップを図る

鹿児島県立川内(せんだい)高校


二極化する学習意識言われたことはこなすが自ら学ばない生徒が増加
 川内高校でここ数年、大きな課題となっているのが、生徒の学力の二極化現象だ。模試の成績(校内学力分布)を見ると、一応は正規分布を保っているとは言うものの、国公立ブロック大が視野に入る偏差値57〜58の辺りに成績上位層の集団、45〜46の辺りに下位層の集団ができているという。
 同校進路指導部主任の平山拓磨先生は、「上位層の生徒と下位層の生徒では、学力もさることながら、学習に対する意識の差が大きい」と分析する。
 「私は8年前に本校に赴任して来たのですが、当時と比べると、生徒の姿勢は明らかに変わってきていますね。今の生徒は『勉強しなさい』と教師が言えば素直に従いますが、自ら学ぼうとする姿勢は乏しい。そのまま放っておけば、漫然と高校生活を送ってしまうことになりかねません」
 平山先生はこうした生徒が入学してきている背景として、「塾」の存在を挙げる。
 中学校時代に学習習慣が身に付いていない生徒でも、中3生になれば川内高校への入学を目指して塾に通うようになり、入試をクリアできるだけの受験学力を身に付けて進学してくる。ただ、塾では与えられた教材をこなす学習を中心にしてきているためか本来最も大切である自学自習力が養われにくい。そして入学後は、再び勉強しなくなるのだと言う。
 このような傾向は、全国の進学校が同様に抱えている悩みと言えるだろう。近年、多くの学校では、少子化による生徒数の減少や中学時代の通塾率の高まりなどで、学力も学習態度も幅広い生徒が入学してくるようになり、その対応がより重要なテーマとなっている。
 このように、入学時では学力、学習意識共に多様な生徒が多い同校だが、卒業時には近隣の進学校と比べても遜色のない大学進学実績を上げている(※)。その背景には、生徒を積極的に学びへと向かわせるための、同校ならではの体制づくりがある。
※川内市は人口7.3万人。近隣の町村を含めても10.4万人と少ないが、川内高校は例年、国公立大に140名前後の合格者が輩出している。


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