ベネッセ教育総合研究所
特集 進路学習の深化を探る
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4 取り組みの継続・深化
狙いの再整理と検証結果の反映
 前述のように、高校段階における進路学習は、決して詳細な職業知識や学問知識の習得を狙うわけではない。むしろ、社会で生きる上で欠かせない価値観や行動様式を身に付けることにこそ、その目的がある。
 そのときに必要になるのは、今一度、学校の教育活動全体のプランを進路観育成の観点から再整理することだ。多くの学校で進路講演会や大学訪問、小論文指導、学校説明会などといった取り組みが行われているが、相互の狙いを再整理しつつ、生徒の発達段階を踏まえて有機的な連携を図ることが重要である。
 具体的なポイントとしては、「子どもたちが培った進路意識の高まりを学習行動に転化させるための取り組みが工夫されているか」「進路講演会や卒業生との交流会の狙いや意図が、単なる情報提供だけにとどまっていないか」「職業研究・学問研究の総括が、生き方・在り方を考えさせる次元にまで深められているか」といったものがあるだろう。
 また、各種学校行事の位置付けを見直すことも重要な課題と言えよう。修学旅行と職場体験のドッキング、文化祭等の機会を、進路学習の成果発表の場として、進路観育成プランの中にきちんと組み入れるといった視点が必要になる。そこでは、慣例的に行われてきた特別活動の意味を、「進路学習」という一貫した流れの中で考え直すこともまた必要になるだろう。
 そして、このような作業と共に今後重視されなければならないのは、実行されたプランの検証・修正が、進路学習に関わる分掌だけでなく、学校全体として定期的に行っていくことのできる体制の確立である。社会環境や生徒気質の変化に踏まえた、自己点検・自己評価が継続的に行われる仕組み、すなわち進路学習の深化を前提とした革新が求められている。


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