ベネッセ教育総合研究所
シラバスの活用 教育シラバス徹底活用のヒント
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3 授業・家庭学習・テストの連携を図る
 明確な到達度目標を示すと同時に、同校ではそれを計測する手段についての取り組みも行われている。すなわち、定期テストや小テストの出題を、シラバスの記載内容と整合性のあるものに改めたのだ。
 「私も含め、高校の教師は、どちらかというと、授業で教えていない知識や、教科書レベルを超えた応用力をテストで問いたがる傾向になりがちです。しかし、これではシラバスに沿って授業を行った効果を検証できませんし、生徒たちもシラバスを信用して学習を進めることができません。目標設定と検証が表裏一体のサイクルとして機能してこそ、シラバスに基づく学習指導は効果を発揮するはずです」(影山先生)
 改めて図1を参照すると、例えば数学のシラバスと実際の定期テストの問題では、ほとんど1対1対応と言えるほど、相互のつながりが考慮されていることが分かる。近藤先生はこの路線を推し進め、テストとシラバスを連携させた次のような指導を考えているという。
 「まず、テストの1週間ほど前に、生徒がシラバスを見ながらテストの出題範囲を確認する時間を設けます。その際、自分のできない単元をプリントに書き出させ、テスト勉強を重点的に行うべき単元を自覚させます。更に、単元それぞれについて『〜ができるようになる』『〜の公式を理解する』といった形で目標設定を行わせます。最近の生徒は『テスト勉強をしなさい』といっても、なかなか実効性のある学習計画が立てられないのですが、シラバスを使った指導を行うことで、自学自習力を立て直したいと考えています」
 このプランは既に学校ぐるみの計画として動き始めている。図2に示した指導用のプリントも既に完成しており、04年度2学期から本格導入の予定だ。「今後の課題は、生徒が自分で書いた目標を達成できているのかどうか、面談などできちんと教師がチェックしていくことですね」(近藤先生)
図2
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 以上のように、佐野高校においては、今後の入試選抜で求められる力を見据えた上で、教師の指導力向上、生徒の家庭学習習慣の再構築に関わる取り組みが、シラバス作成を機に一気に体系化されようとしている。今後の実践がどのような成果を生むのか、注目していきたい。


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