ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 新課程3年目を迎えた中学校現場
浦崎太郎
武儀郡洞戸村立洞戸中学校教諭
浦崎太郎
Urasaki Taro
岐阜県立岐阜高校に9年間勤務の後、04年度より現職。理科担当。「中高の橋渡し役として働きたい」
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Part2 現場の声 中高の違いをどう捉え、連携を考えるべきか
 中学校現場が落ち着きを取り戻しつつある中で、今後の中高連携を考えていくためにはどのような観点が求められるのだろうか。岐阜県立岐阜高校の進路指導部で指導経験を積んだ後、洞戸中学校(全校生徒約70名)へと赴任した浦崎太郎先生に現場の課題認識をうかがった。
 
中学校に赴任して気付いた認識の差
 「中学校に赴任する以前は、『中学ではきちんと生徒が育っていないのではないか』『教育的配慮という美名の下に、生徒の学習習慣の確立がないがしろにされているのではないか』などと考えていました。しかし、実際に中学校の現場を知るに連れ、そのような先入観で中学校を見ていてはいけないと思うようになりました」
 全国的にもトップクラスの進学校として知られる岐阜高校で9年間教鞭をとった後、04年度から単学級・小規模校の洞戸中学校へ赴任した浦崎太郎先生は、取材の冒頭にこのように語った。
 「実に多様な生徒が集まる公立の中学校では、普通科進学校へ進む一部の生徒のみに照準を合わせた教育活動を行うことはできません。特に、低学力層の生徒たちの底上げなしには、授業そのものが成立しませんから、まずは『C基準の生徒をB基準に上げる』ことを最優先にした授業を行います。教科書研究などを通じて、『中学校の授業進度は遅すぎるのではないか』と感じる高校教師は多いと思いますが、私が実際に授業を行った感触では、それでも『ついてくるのがやっと』という生徒は決して少なくはありません。中学校の教師は決して手を抜いて授業を行っているわけではありません。それどころか、理解力が低い生徒たちにきちんと授業内容を消化させるために、高校とは比較にならないほど授業研究や互見授業を熱心に行っています。そうした実情を踏まえずに『中学校は生徒育成をきちんと行っていない』と考えるのは、あまりにも早計です」


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