ベネッセ教育総合研究所
特集 導入期の集団づくり
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課題 2 学習量の拡大・定着
学校中心の学習習慣を確立
 現状では、入学時に塾中心の学習スタイルで中学時代を過ごしてきた生徒は多い。弊社調査でも、42%の生徒が「高校受験に向けての勉強は、塾での学習が中心だった」と回答している(04年度1年生第1回スタディーサポートより)。また、近年の生徒気質として、「『難しい』と思った途端に諦めやすい反面、達成課題(タスク)が明確になっているものやメリットが分かりやすいもの、作業的な課題には熱心に取り組む」という点も特徴として聞かれる。
 自ら学びに向かう生徒づくりが最終的な目標とは言え、こうした状況を踏まえると、「与える・強制」の要素を取り入れた指導を通して「学校中心の生活サイクルの中で物理的に『机に向かう時間』を確保できる状態を生み出す」ことが学習指導面での第一の課題となる。これに対しては、教師の働き掛けとして以下の三つのアプローチが考えられるだろう。
(1)方法の定着:自宅学習の仕方を理解・定着する場・機会の提供(学習方法説明会の実施、復習ノートの提出など)
(2)学習量の確保:宅習のための素材、場の提供(週末課題プリント、土曜学習など)
(3)定点チェック:指導と評価の一体化を意識したモニタリング(学習の記録といったツール活用、授業での応答の観察など)
 また、「宿題として示してほしい」「課題はチェックしてほしい」といった、生徒から強制力やケアを求める声が上がりやすいという指摘もあるが、課題を課す場合、全員がやりきることができるための工夫をする視点を持つことが重要である。この点が中途半端だと、やる生徒/やらない生徒の間で学力の多層化が早期に進み、集団としての指導が行いにくくなる。教師の働き掛けの方法・バランス・順序が、生徒の学習姿勢や結果としての学力の到達度に与える影響は大きくなっているようだ。


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