ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 未来を模索する単位制高校
長谷川博
埼玉県立浦和高校
長谷川博
Hasegawa Hiroshi
教職歴20年目。同校に赴任して12年目。1年次主任。地歴担当。「社会の要になる人材を育てたい」
杤原正浩
埼玉県立浦和高校
杤原正浩
Tochihara Masahiro
教職歴20年目。同校に赴任して6年目。数学担当。「生徒を『目覚めさせる』授業を実践したい」
中村武彦
埼玉県立浦和高校
中村武彦
Nakamura Takehiko
教職歴32年目。同校に赴任して16年目。理科担当。「世界に羽ばたく視野の広さを生徒に持たせたい」
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事例1 

埼玉県立浦和高校

教育力向上の学校改革ビジョンから単位制を導入する

全人教育と進学実績回復の両立を目指す
 首都圏の公立進学校として、全国屈指の進学実績を誇ってきた埼玉県立浦和高校。そんな浦和高校が単位制を導入したのは99年のことであった。当時、浦和高校の周囲では、東京都内の私立の中高一貫校や、私立大の付属高校への生徒の受験シフトが続いており、進学実績の面では苦戦が続いていた。そのため、事情を知る教育関係者の間では、浦和高校の学校改革を評して「受験対策強化のための学校改革ではないか」との声も上がっていた。
 だが、浦和高校の長谷川博先生によると、浦和高校は決して、目新しさや、授業時数の確保のみを目的に単位制を導入したわけではないという。
 「本校では98年から、学校独自の動きとして『企画委員会』を中心に、長期的なスパンを見据えた学校改革の青写真を描いてきました。そこでは様々な意見が交わされましたが、効率的に受験科目の履修ばかりを追い求めるような改革はあり得ない、という点は当初からはっきりしていました。本校が目指すのは、あくまでも社会を背負って立つ人材の育成なのですから、できるだけ幅広い科目履修を課すのはもちろん、部活や課外活動にも全力で打ち込める環境を整えることが大切だと考えました。進学実績の確保と合わせて、伝統ある全人教育を推進することこそ本校の目指した道です。こうした課題を解決するために、最も有効な手段が単位制だった、ということです」
 言わば「理念まず先にありき」というのが、単位制に対する浦和高校のスタンスであると言えよう。実際、単位制導入に向けた議論の中で争点となったのは「浦和高校の伝統的な良さを単位制の中でどう残していくか」という点だったという。
 では、伝統校としての歴史を踏まえた教育理念を、浦和高校はどのように単位制の中で具現化していったのであろうか。以下で、そのポイントを解説してみよう。


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