ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S TOPIC 大学におけるキャリア教育の最前線〜成蹊大
北川浩

成蹊大学経済学部教授
北川浩
Kitagawa Hiroshi
成蹊大専任講師、助教授を経て現職。学長補佐、大学就職委員長としてカリキュラム改革に取り組んでいる。

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大学におけるキャリア教育の最前線 ―成蹊大―
高校現場が進路学習の充実に努力しているのと同じく、近年は大学においても体系的なキャリア教育を実施するケースが目立ってきた。04年度から本格的な取り組みをスタートさせた成蹊大経済学部の事例を紹介する。


学科改組と不可分にある「キャリア教育」
 成蹊大経済学部では、2004年度に大規模な学科改組を行った。経済学科、経営学科の2つの学科を統合して経済経営学科を新設すると共に、従来の専攻に代えて「社会と環境」「組織と人間」「企業と戦略」「金融と会計」「経済と政策」という5つのコースを設置した。コース選択は学科2年次とし、その際には、定員調整などは一切行わない。「教える側の論理ではなく、学ぶ側のニーズに合わせたカリキュラムを実現すること」がその狙いである。成蹊大経済学部がキャリア教育に本腰を入れた大きな理由の一つは、この学科改組にあると北川浩教授は説明する。
  「学科改組によって、本学部では従来の経営、経済の枠組みにとらわれることなく、学生が自らの興味・関心に基づいて学べる仕組みが整えられました。しかし、せっかくのこのシステムも、学生に高い意識がなければ有効に機能しません。コース選択、ひいては学生生活全体に対する高い目的意識を育成することが必要だと考えたのです」
  こうした問題意識を背景とするだけに、成蹊大経済学部におけるキャリア教育とは、狭義の「職業教育」や「自分探し」を意味するのではなく、むしろ、有為な学生生活を送るために不可欠な、「自己を見つめるための視座」や、「将来を見つけるための方法論」といった、より根本的な次元の教育(学びへのモチベーション)を志向しているのである。
  「大学における『キャリア教育』は、『就職支援』と捉えられることが多かったのが実情です。しかし、それだけでは本学部の教育目標である『21世紀を生き抜く力』を身に付けさせることはできません。本学部では『自分と社会について考え、目標を設定すること』をキャリア教育の理念にしています」


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