特集 真の「文武両道」を目指して

白松賢

▲愛媛大教育学部助教授

白松 賢

SATOSHI SHIRAMATSU

1970年山口県生まれ。広島大大学院教育学研究科、徳島文理大講師、愛媛大教育学部講師を経て、03年より愛媛大教育学部助教授。主な研究分野は、逸脱、学校/学級経営、特別活動・部活動など。著書に『個性をひらく特別活動』(共著)、『マジックマッシュルームとは何か?』『教育社会学研究』などがある。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【インタビュー】
愛媛大教育学部助教授 白松 賢

学校特性に応じた「文武両道」モデルが必要だ

学校経営の視点から見た場合、「文武両道」はどのように位置付けることが可能なのだろうか。愛媛大の白松賢助教授に見解をうかがった。

内実に乏しい「文武両道」の現状

 我が国の高等学校において、「文武両道」という価値観は、長らく普遍的な教育目標としての地位を保ってきた。校訓・校是として多くの学校で掲げられているのはもちろん、教師個々人の意識においても、その価値観は広く正論として受け入れられている。
  だが、その普遍性ゆえに、昨今の高校現場においては、文武両道の内実がいささか空疎化しつつあるのではないだろうか。「文武両道」の名の下に、実際には「文武別道」を志向している学校はしばしば見られるし、単に「部活も勉強も(時間的に)どちらもできるカリキュラムを用意している」という状況を、「文武両道」と捉えている学校も少なくない。内実が深められないまま、半ば観念論化したテーゼとして「文武両道」が一人歩きしている観は否めない。
  「冷え(感情をなくす生き方)」が蔓延する現代の高校生の気質を考えると、空文句のように文武両道を唱えているだけでは生徒を引き付けることは難しい。内実のある教育目標として文武両道を捉え直す戦略としては、恐らく次の三つが代表的なものだろう。


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