ベネッセ教育総合研究所
SSH指定校レポート
岡山県立岡山一宮高校
岡山県立岡山一宮高校
1980年(昭和55年)に設立された同校は、岡山市内にある県立普通科5校の中では最も歴史の新しい高校。元々理系志望の学生が多かったこともあり、99年度に理数科を設置。理数科では未来の研究者、技術者を育てることを目標に、体験学習や実験実習等を数多く取り入れた教育を行っている。
設立 1980年(昭和55年)
形態 全日制・共学
生徒数(1学年) 約320名(うち理数科は約80名)

04年度入試実績 国公立大には、京都大4名、筑波大3名、岡山大43名など170名。私立大には、慶應義塾大3名、関西学院大7名、岡山理科大31名など延べ391名。理数科からは例年、約50%の生徒が工学部系、約20%が医療学部系、約15%が理学部系の大学・学部に進学している。

住所 岡山県岡山市楢津221
電話 086(284)2241

URL http://www.itinomiy.okayama-c.ed.jp/itiko.htm
進藤明彦
岡山県立岡山一宮高校
進藤明彦
Shindo Akihiko
教職歴20年目。同校に赴任して4年目。理数科主任。担当教科は生物。「難しいことや分からないことを解明していくのは、とても面白いことだというのを生徒に伝えていきたい」
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SSH指定校レポート
岡山県立岡山一宮高校
課題研究を軸に、授業や学校行事を有機的に結び付ける

SSH申請の狙い
理数科の実践をSSHが強化する
 岡山県立岡山一宮高校が理数科を設置したのは、99年度のこと。丁度この年度、岡山県では高校入試制度の改正があり、総合選抜制度が廃止。生徒たちは、行きたい高校を自由に選べるようになった。岡山一宮高校も、生徒から「岡山一宮高校で学びたい」と思われるような学校としての特色づくりが必要となってきた。そこで、元々理系志望の生徒が多かったこともあり、理数科(2クラス)の開設を決めたという。
 岡山一宮高校の理数科が開設当初から目指してきたのは、将来研究者や技術者として活躍できる人材を育てていくこと。そのため生徒に大学入試に対応できる教科学力を身に付けさせるだけではなく、自然科学分野に関する興味関心や、科学的思考力の向上にも力を注いできた。次の図は、現在の理数科の取り組みを体系的に表したものだが、「NEW」という表示があるもの以外は、スーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)に指定される前から実施されていた学校設定科目や学校行事である。
図表
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 理数科開設以来、教育活動の柱となってきたのが、2年次に設置されている「課題研究I」(2単位)だ。これは生徒が自ら研究テーマを設定して、実験、調査、検証に当たり、その成果を研究論文にまとめたり、他の生徒の前で発表をするというもの。だが2年生になったばかりの生徒が、いきなり自分でテーマを定めて主体的に研究活動を行うのは難しい。そこで「課題研究I」に臨むための基礎力を身に付ける科目や行事として、「自然科学入門」や「コンピュータ」、「夏季宿泊研修」などが位置付けられてきた。
 理数科設置3年後の02年度、岡山一宮高校はSSHの申請に名乗りを上げ、指定を受けた。SSH申請の背景を理数科主任の進藤明彦先生は次のように語る。
 「SSHは優秀な科学系人材の育成を狙いの一つとしていますが、それは本校の理数科が育てたい人材像と一致しています。そこで、3年間の理数科での実践を更に充実させるために、SSHに手を挙げることにしたのです」
 SSHに指定された以降に新たに設けられた「スーパーサイエンスラボ講座」や「科学論文基礎」といった科目は、「自然科学入門」などと同じく、「課題研究I」に取り組むための基礎力養成の役割を担っている。
 加えてSSHに指定されてから、3年生対象の「課題研究II」や「岡山大の講義の聴講」も新たに設けた。これは「課題研究I」での経験を通じて、更に発展的な内容の研究や勉学に興味を持った生徒が学んでいけるように、選択科目として設置されたものだ。
 こうして見ていくと岡山一宮高校の場合、既にSSHの申請を行う前から、「育てたい人材像」や「教育内容の方向性」といった教育方針の土台は、確立されていたと言える。その土台をより強固なものにしたいというのが、岡山一宮高校がSSH申請を決定した一番の理由だ。

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