ベネッセ教育総合研究所
高大連携の新たなフォルム
山極隆
玉川大学術研究所教授
山極隆
やまぎわたかし◎1934年東京都生まれ。東京教育大理学部生物学科卒。都立高校教諭、都立教育研究所科学研究部指導主事等から文部省(当時)初等中等教育局主任視学官へ。のち富山大教授を経て玉川大教授。理科教育、情報教育に関する著書多数。
飯塚信
ベネッセ教育総研主任研究員
飯塚信
いいつかまこと
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SSHがもたらしたもの
〜転換期の教育の第2フェーズに向けて〜

対談 玉川大教授 山極隆 × ベネッセ教育総研 飯塚信

SSHで課題探究的な授業実践が充実
山極 取り組みは様々ですが、各校とも先行事例がない状態から大学とのパイプづくりをゼロから行ったり、学校設定教科・科目を工夫するなどしてきました。その苦労は大変なものだったと思います。共通して言えるのは課題探究的な授業を重視していることです。そのため生徒については、仮説を立てて検証する力や、考察結果をレポートにまとめる力、プレゼンテーション能力の向上などの成果が見られました。また教員については、ある教育目標に向けて、自分たちでカリキュラムや授業方法を開発していく力が身に付けられたと思います。

飯塚 様々な地区のSSH指定校の先生方とお話しましたが、苦労しながらも実践に直接関わった先生方からは「SSHの成果に手応えを感じる」といった肯定的な声が聞かれました。ただ反面、事業の継続性に不安をお感じの先生も少なからずいました。「SSHにおける自分たちの3年間の実践は、今後の理数教育の充実にどうつながっていくのだろうか」という不安です。

山極 確かにSSHがスタートしたとき、先生方が心配していたのが「この事業は3年で終わってしまうのか」ということでした。その後SSH事業は延長されることになった(注)のですが、それでも一過性のイベントに終わってしまわないかという不安を抱いている先生はまだ多いでしょう。
(注)3年間の事業終了後も希望によって更に5年間延長できるようになった。
 SSHは理科としての探究心を育み、将来科学技術系に進む人材の育成と、その方法を開発する事業です。課題や成果を検証して実践計画を立て、更に新たな実践の中で成果を得るというように、理数教育の向上に結び付くものでなくてはなりませんし、数年の取り組みだけで完結できるものでもありません。文部科学省も、この事業を長期的な視点で捉えていると思います。
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科学技術を支える人材の育成を連続性を持って行うのがSSHであり、その事業は第2段階に入りつつあると山極氏は考える。


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