中学校の現場から 習熟度授業
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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中学校の現場から

生徒の履歴をつかみ、今の指導につなげる

習熟度別授業
「個に応じた指導」で変わる生徒の授業態度

 2005年度に中学3年間を新教育課程で学んできた、いわゆる「完全新課程生」が入学し、高校現場では「学習習慣が身に付いていない」「学習姿勢が受け身だ」などといった課題がより大きくなってきていることは、前号(05年度2月号)でも述べてきた。これまでの経験知だけでは対応が難しい新しい高校生像に、「中学校で何を経験しているのかを把握することが重要だ」という声も少なくない。
  本コーナーは、そうした課題に対する解決の材料として、中学校での指導や中学生の実態を紹介していく。今号は、多くの中学校で導入している「習熟度別授業」の現状をレポートする。

習熟度別授業の実施はもはや当たり前

 文部科学省「教育課程編成・実施状況調査」(03年度)によると、「理解や習熟の程度に応じた指導」、いわゆる習熟度別授業を必修教科で実施する中学校は約7割に上り、「補充的な学習」と「発展的な学習」の両方を実施する学校は5割を超えている。また、ベネッセ教育研究開発センターによる「中学校の学習指導に関する実態調査」(04年度)によると、5割以上の教師が「5年前と比較して学力格差は広がっている」と答えており、元々幅広い学力層の子どもが集まる公立中学校で、更に学力格差が拡大しているという危機意識が感じられる。これが、習熟度別授業の増加をあと押しした要因の一つと言えるだろう。
  事実、中学校では、学力不振の生徒に対する指導の充実がまず求められる。授業に遅れがちな生徒に対し、「基礎学力の定着」を徹底させることは、義務教育である中学校に課された大切な役割だからだ。
  一方、学力の高い生徒たちのいわゆる「浮きこぼれ」を防ぐため、上位層の学力に合った発展的な内容の授業を実施することも求められている。この両者の生徒に対応するために、習熟度別授業を取り入れているのだ。


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