特集 「学校力」を考える(2)「学校経営力」を高める
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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危機感を抱いたミドルが3人集まれば新たな一歩が踏み出せる

―本誌は進路指導主任などミドルリーダー的な立場の先生によく読まれています。その先生方が教科や分掌の枠を越えて学校改革を推進しようとするとき、具体的にどのような対策が有効でしょうか。

木岡 「このままではダメだ。学校を変えよう」という教師をほかに2人集め、3人にすることです。できれば同じミドル層がよいでしょう。

―なぜミドル層で、しかも3人なのですか。

木岡 学校は、校長のトップダウン的な指示だけでは教員組織全体を動かすのは難しく、一方、ボトムアップだけでもうまく機能しない組織です。特に高校の場合、一般の教師は教科の枠の中で自らの存在を規定しがちなので、学校全体を横につなげていく発想は、ボトムからはなかなか生まれにくいのです。ですから、学校全体を見渡せる位置にいるミドルが鍵を握るわけです。
  また、3人という意味は、まず1人では限界があります。2人ではどちらかが上、下という主従関係になりがちです。でも、3人なら1人の意見が必ず相対化されるのです。

―2人が同意しても、1人が「こんな見方もある」と異を唱えることができるということですか。


木岡 そうです。3人いるから、新しい発想が生まれ、発展があります。「3」というのは組織の基本単位です。3で動き始めれば、その3がまた新たな3をつくればよいのです。

―いきなり大々的な組織マネジメントにしなくても、小さなことから着手すればよいということですね。


木岡 学校はインプット―アウトプットモデル()が適用できず、公式が成り立たない組織です。これを「複雑系システム」と言います。複雑系システムでは、実行してうまくいけば続ければよいし、ダメだったらすぐやめる。試行錯誤を繰り返すしか方法がないだけに、初めの「一歩」を大きくしすぎない方がよいのです。引き返せるくらいの幅で踏み出すことが大切です。

―学校はミッションやビジョンを掲げ計画を立てても、そううまくいく組織ではないということですか。

木岡 いいえ。ミッションは大事ですし、計画も立てなくてはなりません。大切なのは、実行しながら常に「これでよいか」と軌道修正をすること。でないと行動計画が学校や生徒の実態から乖離(かいり)してしまいます。ところが、年度末でないと振り返りをしない学校も少なくありません。

―その点は、企業経営に見習う部分があるのかもしれませんね。コンビニエンスストアなどでは、毎日がPDCAの連続ですから。

木岡 短い周期で見直すことが重要なのです。その意味からも、日々の小さな変化で全体が揺らがないよう、ミッションから計画を立てることは大事。要はそのバランスです。

 例えば、企業の生産ラインなどで、Aというインプット(投入資源)に対して、常にBというアウトプット(成果物)が得られるという因果関係を捉えたモデルのこと。

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