特集 「多様化」する保護者にどう対応するか

奈良県立平城高校

◎積極的な学習態度、人権尊重の精神を養い、高い知性と豊かな創造性、社会的連携感を育む。2006年度に小学校教員を目指す「教育コース」1クラスを設置。奈良教育大、同志社女子大等と連携協定を結び、教育環境を整備する。

設立●1980(昭和55)年

形態●全日制/普通科(一般コース・教育コース)/共学

生徒数(1学年)●約400名

07年度進路実績●国公立大には、大阪大、神戸大、大阪教育大、奈良教育大、奈良女子大、名古屋大、九州大、岡山大、北海道大、筑波大、一橋大など79名が合格。私立大には、関西大、関西学院大、同志社大、同志社女子大、立命館大、上智大、早稲田大など延べ687名が合格

住所●奈良県奈良市朱雀2-11

TEL●0742-71-5174

WEB PAGE●http:http://www.
heijo-hs.ed.jp/


谷垣 康

▲奈良県立平城高校校長

谷垣 康

Tanigaki Yasushi

教職歴30年目。同校に赴任して3年目。「社会で自立して生きていける人間を育てていきたい」

堀内秀紀

▲奈良県立平城高校

堀内秀紀

Horiuchi Hideki

教職歴31年目。同校に赴任して4年目。進路指導部長。「自ら考え、問題解決できる人を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 8/18 前ページ  次ページ

【実践と課題・3】

奈良県立平城高校

生徒の状況を多面的に伝え、保護者に進路へのかかわりを促す

学校に対する保護者の意識の多様化、学校離れは、多くの学校に見られる課題だ。奈良県立平城高校では、学年に応じた説明会の拡充、三者面談の工夫により、保護者に有益な情報の提供を心がけ、学校への求心力を高めようとしている。

保護者の意識の二極化と 高い通塾率が課題

 平城高校には、県内約110の中学校のうち約90校から生徒が入学してくる。保護者の傾向として、谷垣康校長が感じているのは、学校や教育に対する意識の二極化だ。
 「大部分の保護者は前向きに応援してくれますが、すぐに学校に電話してきたり、担任ではなく直接校長に訴えてきたりする保護者もいます。一方、学習のことは学校に任せきりで、進路説明会などに全く出席しない保護者もいます。教育に関心が高い層と無関心な層の二極化が進んでいると感じます」
 同校の生徒は高校入試時に8割が通塾しているが、これも保護者の意識に大きく影響している、と進路指導部長の堀内秀紀先生は話す。
 「勉強は塾、子どもの健康管理は保護者という分業に慣れていて、高校入学後もその意識から抜けられない保護者が少なくありません。学校に関心を持たない保護者が増えている背景には、塾に依存してきた経験によるものがあるのかもしれません」
 ただ、谷垣校長は「すべてが保護者や塾の責任ではない」と強調する。
 「学校が情報を積極的に提供してこなかった面があります。教育は信頼関係で成り立つものです。学校と保護者が全く違う方向を向いていては、生徒はだれを信用すればよいのかわからなくなり、大人や社会に対して不信感を抱くでしょう。保護者を避けたり、実情を隠したりするのではなく、保護者と向き合って学校の考えを説明し、課題も含めて今後の方針を伝えることが、保護者との信頼関係を築く上で大切なのです」

保護者の傾向

  PAGE 8/18 前ページ 次ページ
目次へもどる
高等学校向けトップへ