特集 生徒を大人にする「生徒指導」

愛知県立豊田北高校

◎「付加価値の北高」を目標に掲げ、生徒の満足度向上を目指した教育を展開している。「二練四学」をモットーに、毎日、部活動2時間、家庭学習4時間を目標にさせている。07年度入試は名古屋大合格者20名が輩出。部活動ではボート部、水泳部がインターハイ出場を果たした。

設立●高校:1979(昭和54)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●320名

07年度進路実績●国公立大には、名古屋大、愛知教育大、名古屋工業大、金沢大、信州大、広島大、愛知県立大など218名が合格。私立大には、上智大、中央大、法政大、立教大、早稲田大、南山大、同志社大、立命館大など延べ661名が合格。

住所●愛知県豊田市千石町2-100-1

TEL●0565-80-5111

WEB PAGE●http://www.toyotakita-h.aichi-c.ed.jp/


川合政仁

▲愛知県立豊田北高校校長

川合政仁

Kawai Masahito

教職歴35年目。同校に赴任して2年目。「生徒には夢を持って『一度もある人生』をしっかりと生きてほしい」

中根 茂

▲愛知県立豊田北高校

中根 茂

Nakane Shigeru

教職歴28年目。同校に赴任して2年目。生徒指導主事。「何事においても我慢ができる生徒を育てたい」

加藤敏実

▲愛知県立豊田北高校

加藤敏実

Kato Toshimi

教職歴24年目。同校に赴任して10年目。教務部長。「他人の言葉を素直に聞く姿勢を身につけさせたい」

森 昭夫

▲愛知県立豊田北高校

森 昭夫

Mori Akio

教職歴23年目。同校に赴任して10年目。進路指導主事。「生徒が自ら考えられる進路指導を心がけている」

鶴田昭博

▲愛知県立豊田北高校

鶴田昭博

Tsuruta Akihiro

教職歴19年目。同校に赴任して7年目。1学年主任。「当たり前のことを当たり前にできる生徒を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例3】

愛知県立豊田北高校

生徒の実態に基づく新たな生徒指導を模索する

遅刻の増加を機に生徒指導の改善に乗り出した豊田北高校では、全校体制で、最後の1人まで見逃さない指導を展開している。
粘り強く頑張る生徒が増えたことで、進学実績の向上にもつながっている。

当たり前のことができる生徒の育成を目指して

 豊田北高校が、生徒指導の改革に乗り出したのは、2002年度のことだった。同校は地域の伝統校ではなく、学力は高いものの比較的のんびりした生徒が多く、自由に高校生活を楽しみたいという生徒が少なくなかった。そうした自由な校風が、一方で生徒の生活態度の乱れにもつながっていたのだろうと、進路指導主事の森昭夫先生は指摘する。
 「素直でおとなしい生徒が多い反面、生活態度は必ずしも落ち着いたものではありませんでした。駐輪場の自転車の置き方も乱雑で、遅刻も年々増えていました。特に、02年度の3年生の遅刻が年間1000件を超えたことには、多くの教師が危機感を抱きました」
 改革の端緒を開いたのは、02年度の1学年だった。「当たり前のことを普通にできるようにする」「素直に他人の言葉を受け入れる姿勢を身につけさせる」の二つを生徒指導の目標に据え、指導を展開していった。当時、1学年主任だった加藤敏実先生は、「生徒は最初から自主性を伸ばす器を持っているわけではありません。まずは教師がその器をつくれるように導いていくことが大切だと思います。一つひとつの指導を丁寧に行い、生徒に最後までやり抜かせることで、生徒の本来持つ力を引き出すことができるのではないかと考えました」と、その狙いを述べる。
 最初に取り組んだのは、遅刻指導だ。それまであまり機能していなかった「遅刻指導票」を活用し、生徒に時間を守ることの大切さを実感させることにした。
 遅刻した生徒は、まず生徒指導室に行き、指導票に遅刻の理由・反省等を記入し教室への入室許可を得る。更に生徒はその指導票を持って、当日中にクラス担任↓学年主任↓生徒指導部の順に指導を受ける。不注意による遅刻が学期で3回になった生徒には、「早朝登校指導」として毎朝通常の15分前に登校させて反省文を書かせる。「これを2、3回続ければ遅刻は激減する」と森先生は言う。現在は朝の補習時の遅刻にもこの手法を活用している(図1)。

図1

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