特集 「自立する高校生」をどう育てるのか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【編集部より】

高校生が 自立に向かうために 必要な視点

高校現場の声と調査データから高校生・大学生の「自立」の実態を見てきた。
ここでは、高校生が自立しにくい要因を整理した上で、
高校段階でどのような指導をすればよいのかを考える。

 生徒の自立を阻害する要因
  環境の変化は、生徒の意識を確実に変えている。大学入試、 親子関係、教師の指導の観点から、生徒の自立を阻む要因をまとめた。

要因1:本気で頑張った経験が少ない

 大学入試の競争が緩和された結果、生徒は、無理をしなくても難関大に合格できてしまう場合がある。生徒はより高い目標に向かって挑戦するより、「そこそこでよい」という意識が強いのではないか。そのため、生徒は一つのことを本気で成し遂げ、その中から「達成感」を得る経験が乏しいとも考えられる。

要因2:保護者が子どもに関与する度合いが強まる

 ベネッセ教育研究開発センターが実施した「第3回子育て生活基本調査」で、中学生を持つ保護者に家庭の教育方針について尋ねたところ、近年「勉強のことは口出しせず、子どもにまかせている」の肯定率は減り、「親子で意見が違うとき、親の意見を優先させている」の肯定率が増加している()。子どもの教育に対し保護者が関与する度合いが強まっている様子がうかがえる。

図
*中学1〜3年生を持つ保護者 出典:ベネッセ教育研究開発センター「第3回子育て生活基本調査

要因3:教師の多忙化で「待つ指導」がしにくい

 学校週五日制などによって、教師が多忙化している中、時間をかけて生徒がじっくり考える力を身につけることに価値を置いた「待つ指導」が軽視されている可能性もある。
 学習法や時間の使い方など、本来生徒が創意工夫を凝らしていくべきことに関しても、教師が先回りをしてあれこれと指示をしてしまうなど、生徒が自立に向かいにくい状況を教師の側がつくっているのかもしれない。


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