特集 「自立する高校生」をどう育てるのか
深澤毅倫

▲群馬県立前橋高校卒業(2005年3月卒)

深澤毅倫

FukazawaTakemichi

東京大理科V類2年◎高校卒業後、東京大理科T類に進むが、2年生のときに医者を志してV類を受験し直す。高校の部活動で熱中したソフトテニスを現在も続ける

石原太一

▲鳥取県立倉吉東高校卒業(2004年3月卒)

石原太一

IshiharaTaichi

東京大大学院工学系研究科修士課程1年◎高校時代は演劇部に所属、生徒会会長、学園祭委員長等を務める。現在は制御工学を専攻し、建設機械の開発を目指す

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【対談】:事例校の卒業生による対談

「頑張る」ことを肯定する雰囲気が高校にはあった

自立を促す指導は、生徒の成長にどのように影響を与えたのだろうか。
学校事例で紹介した群馬県立前橋高校と鳥取県立倉吉東高校の卒業生で、東京大へ進学した2人が、「母校で歩んだ自立への道のり」について語り合った。

授業は先生との知的コミュニケーションの場

深澤(前橋高校) 高校3年間は部活動一色。ソフトテニスの県大会で団体戦2位になり、関東大会に出場できたのが一番嬉しかったです。
石原(倉吉東高校) 生徒会長や学園祭実行委員長をしていたので、学校には毎日夜9時ごろまでいました。今より忙しかったかもしれません。その分、朝早く学校で勉強したり、休み時間に予習したりして、授業は復習のつもりで聞いていました。
深澤 学校には「勉強も部活もちゃんとするのが当たり前」という雰囲気がありました。今振り返ると、1、2年生のころは、部活に時間をかけたとしても、勉強がおろそかにならないように、授業や宿題を通して先生方が勉強の方向付けをしてくれていたのだと思います。だからこそ、安心して部活動や生徒会活動に力を入れることができたんだと思います。
石原 受験勉強の効率だけからいえば、授業の時間がもったいないと感じることも正直ありました。しかし、それでも私が真剣に授業を受けたのは、受験のために問題を解くだけではなく、知的で面白い時間を先生方がつくってくださったからです。例えば古文や漢文に詳しい国語の先生は、偉人の言葉を引き合いに出したり、面白い作品を紹介したりしてくださいました。あまり国語に興味がなかった私ですが、「本を読む」ことの面白さや奥深さを教わりました。
深澤 授業は先生との知的コミュニケーションの場だと思います。授業を聞き、発展的な質問をし、思考が大きく展開することもありました。
石原 同感です。問題の解き方以外のことも得られるのが授業であって、それを期待していましたよね。
深澤 地理の先生は何事も「守破離(しゅはり)」だとよくおっしゃっていました。教えられたことをまず身に付け、自分なりに消化し、独自の方法を生むという意味ですが、母校の指導はそれに似ています。1年生で先生から勉強法を教わり、2年生で自分に合った方法に改良し、3年生で志望校合格に向けて自分の勉強法を見いだす。今もこの過程を大切にしています。

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