特集 「自立心」を育てる進路学習

市立函館高校

◎2007年度に函館東高校(1940年開校)と函館北高校(1963年開校)が統合し、進学重視型単位制高校となる。校地は国指定特別史跡の五稜郭跡に隣接した旧函館東高校を継承。「何を求める」を校訓とし、生徒一人ひとりの可能性をひらき、人間性を深める教育をめざしている。

設立●高校:2007(平成19)年

形態●全日制/単位制・普通科/共学

生徒数(1学年)●320名

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大には、北海道大、北海道教育大、弘前大、岩手大、山形大、筑波大、札幌医科大、公立はこだて未来大など153人が合格。私立大には、中央大、法政大、立教大、同志社大、立命館大など延べ301人が合格。

住所●〒040-0002 北海道函館市柳町11-5

TEL●0138-52-0099

WEB PAGE●http://www.hmshs.jp/

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例1】北海道・市立函館高校

論文で身に付ける表現力・論理力が
自立への第一歩になる

「大学に入ってから必要となる学力」の養成に力を入れてきた、市立函館高校。
小論文やディベートで必要な論理的思考力や議論する力の習得は、推薦入試・AO入試の合格者増にも結び付いている。

推薦・AO入試にも対応する「見えない学力」を育成

 市立函館高校は、2007年度に函館東高校と函館北高校が統合して設立された進学重視型単位制高校だ。国公立大現役合格者数は、100〜150人と安定し、道内の高校の中でも高い実績を誇る。
 「総合的な学習の時間」(以下、総合学習)での指導の体系は旧函館東高校での実践を受け継ぐ。旧函館東高校で総合学習の立ち上げの事情を知るガイダンス総学部の吉田修平先生は、当時を次のように振り返る。
 「函館東高校は1995年度に国公立大現役合格者数の道内順位が30位から転落し、進学実績の向上の道を模索していました。当時の指導は教師主導型で、教師が課題を与えて勉強させる取り組みが中心でした。しかし、それでは我々教師が教えること以上の成果は生まれません。03年度に始まる総合学習を生徒の主体性を高め、学ぶ意欲を引き出すための起爆剤にできないかと考えました」
 総合学習で重視したのは、「大学や社会で通用する力」の育成だ。単に教科の問題を解く力ではなく、論理的に考えたり表現したりする力、調査してまとめる力、知的好奇心、社会に対する関心、自ら課題を発見し、正解が見えないことにも果敢に挑戦する態度などだ。そうした力の育成が、推薦入試・AO入試の実績にも結び付くと考えた。
 総合学習の企画・運営を担うガイダンス総学部長の谷藤純一先生は「結果的に推薦入試・AO入試合格者数が伸びていますが、総合学習を対策として位置付けているわけではありません。あくまで、大学や社会で主体的に行動できる力を身に付けることが主眼です」と強調する。
 旧函館東高校は、総合学習において、小論文やディベート、課題論文作成、地元の公立はこだて未来大との連携による模擬授業などを次々と導入した。それまで60〜80人だった国公立大現役合格者は、安定的に100人を超えるようになった。函館北高校との統合後は、単位制となったこともあり、自分自身で、主体的に科目選択ができる力を育てることが課題の1つだ。

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