「データで考える子どもの世界」
第2回子ども生活実態基本調査報告書
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3. 将来の職業について(1)

上智大学大学院博士後期課程 谷田川ルミ

 この5年間で、どの学校段階においても「将来なりたい職業」が「ある」と答える割合が減少しており、とくに高校生において、減少の割合が大きくなっている。性別でみると、小・中・高校生とも、女子よりも男子の減少幅が大きい。男子における減少幅は学校段階が上がるにつれて大きくなり、高校生男子がもっとも「なりたい職業」がなくなってきている。とくに進路多様校の男子においては2割以上も減少している。

「なりたい職業」が「ない」子どもが増加

 ニート・フリーター問題から引き続くかたちで、この5年間は、若者と仕事に対する議論やキャリア教育に注目が集まった時期であったといえる。こうした世情の中、子どもたちの職業観はどのように変化したのだろうか。
 はじめに「将来なりたい職業」の有無について、5年間の変化をみていこう。学年別の結果を図4-2-7に示した。

■図4-2-7 なりたい職業はあるか(学年別、経年比較)
図4-2-7 なりたい職業はあるか(学年別、経年比較)

 全体的に、「なりたい職業」が「ある」の割合が減少している。学年ごとにみてみると、小学生においては4〜7ポイント程度の減少幅で推移しているが、中2生から減少幅が大きくなりはじめ、中3生では2004年と比べて11.0ポイント減(2004年62.5%→2009年51.5%、以下同)、高1生では16.4ポイント減(64.8%→48.4%)、高2生では15.7ポイント減(68.7%→53.0%)と、とりわけ高校生において「なりたい職業」が「ある」の割合が大きく減少している。

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