「データで考える子どもの世界」
第2回子ども生活実態基本調査報告書
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4. 将来の職業について(2)

上智大学大学院博士後期課程 谷田川ルミ

 小・中学生の男子が、将来なりたい職業の上位は、「野球選手」「サッカー選手」で、スポーツ選手は不動の人気。小学生女子では、「ケーキ屋さん、パティシエ」の人気が急上昇。中・高校生の女子では「保育士・幼稚園の先生」が第1位となった。高校生男子では「学校の先生」「公務員」と堅実な職業が上位を占めている。2004年と同様、2009年においても、高校生になると男女とも現実的な職業が上位に入ってくる。中学生から高校生にかけてが、職業を現実的に考える分水嶺となっているようだ。

小学生のなりたい職業の変化-男子でスポーツ選手が不動の人気

 小学生男子が将来なりたい職業には、「野球選手」「サッカー選手」が上位を占めた。これは2004年と同じ順位であり、スポーツ選手は不動の人気職業といえる。また、2009年では「芸能人(俳優・声優・お笑いタレントなど)」が2004年の第14位から第7位に急上昇している。
 女子では、「ケーキ屋さん・パティシエ」が2004年の第5位から第1位へと上昇した。ついで、「保育士・幼稚園の先生」「芸能人(俳優・声優・お笑いタレントなど)」「看護師」と続いている(表4-2-5)。

中学生のなりたい職業の変化-女子で「医師」がランクイン

 中学生男子においても「野球選手」「サッカー選手」といったスポーツ選手の人気が依然として高く、「芸能人(俳優・声優・お笑いタレントなど)」も順位を上げて第3位となった。また、2009年では「調理師・コック」「大工」といった技能職や「研究者・大学教員」といった専門職、「コンピュータープログラマー・システムエンジニア」といった技術職が軒並み順位を上げて第10位以内にランクインしている。
 女子では「保育士・幼稚園の先生」が第1位となっており、こちらも不動の人気の職業である。つづいて「芸能人(俳優・声優・お笑いタレントなど)」「ケーキ屋さん・パティシエ」が順位を上げて第2位、第3位となっている。またそれ以外の職業では、「医師」が2004年から大きく順位を上げて第10位以内に入ってきている(表4-2-5)。

高校生のなりたい職業の変化-男子で専門職、技術職が人気に

 高校生の男子においては、「学校の先生」「公務員(学校の先生・警察官などは除く)」といった職業が2004年から継続して上位に入っている。また、「研究者・大学教員」といった専門職、「コンピュータープログラマー・システムエンジニア」といった技術職、「芸能人(俳優・声優・お笑いタレントなど)」も大きく順位を上げている。
 女子においては、2004年から順位に大きな変化はみられず、「保育士・幼稚園の先生」「学校の先生」「看護師」といった従来から女性が多く活躍している職業(=ピンクカラー職)の人気が依然として高くなっている(表4-2-5)。

「芸能人(俳優・声優・お笑いタレントなど)」の人気が上昇

 2009年の特徴をまとめてみよう。特徴的なのは、学校段階別、性別を問わず、「芸能人(俳優・声優・お笑いタレントなど)」の人気が上昇していることである。ここ数年続いたお笑いブームの影響や、インターネット上で芸能人が自分の日常をブログなどで紹介したりしていることで、子どもたちがこうした職業を身近に感じるようになってきているのだろうか。


 男女差をみてみると、小・中・高校生とも男子は従来から男性が多く就いてきた職業を、女子は女性が多く就いてきた職業を希望する割合が高いという傾向が依然として続いている。しかし、その中で、女子において「医師」が上昇傾向にあり、今後の変化が期待される。


 2004年と同様、2009年においても、高校生になると男女とも現実的な職業が上位に入ってくる。中学生から高校生にかけてが、職業を現実的に考える分水嶺となっているようである。

■表4-2-5 「なりたい職業」ランキング(学校段階別・性別、経年比較)
表4-2-5 「なりたい職業」ランキング(学校段階別・性別、経年比較
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