学校外教育活動に関する調査

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【5】 幼児の塾や習い事 ―スポーツは5歳から


Benesse 教育研究開発センター 研究員 鈴木尚子

3歳〜6歳の幼児の幼稚園や保育所における活動以外の教育活動の状況をみてみましょう。幼児をもつ母親の意識、子どもにかける教育費、塾や習い事の状況、親子の活動の順番にデータを紹介します。

◆親の意識 ―子どもの年齢が上がるにつれ教育熱心な母親が増える―

image図5−1〜4は子どもの教育に対する母親の意識です。子どもの発達とともに親の教育意識には変化があらわれています。例えば、子どもの年齢が上がるにつれ「学校生活が楽しければ、成績にはこだわらない」や「子どものことは、子どもの自主性に任せている」といった回答は減ります(図5−1図5−2)。それに対して「親の教育への熱心さが、子どもの将来を左右する」という回答は増えていきます(図5−3)。

ここからみえるのは、子どもの活動や体験に対するおおらかな意識が後退し、その反対に、教育熱心な母親が増えていくようすです。

◆教育費 ―母親の意識は教育費にも反映されている―

図5−5は保育料、塾や習い事などを含めた子ども1人、1か月にかかる教育費です。3歳では半数近くが5千円未満です。ただし、2万円以上も4人に1人います。子どもを園に預けているか否かなどの理由により分かれるようです。分布からは、子どもの年齢とともに教育費がゆるやかに上昇していくようすがわかります。

保育料を含む教育費の平均を年齢ごとにみてみましょう。平均をみると、3歳は16,000円ですが、半数以上が保育所や幼稚園に通い始める4歳では25,300円と1万円近く教育費が増加しています。その後も徐々に増加し、6歳(年長)では約3万円かかるようになります。

図5−6は、保育料を含めない場合の塾や習い事にかけている費用です。3歳4,300円、4歳(年少)5,900円、5歳(年中)8,100円、6歳(年長)10,300円と、年齢が上がるにつれ、塾や習い事にかける教育費も上がっていきます。

◆幼児の活動 ―家庭学習1)は3〜4歳、スポーツの習い事は5歳くらいから―

幼児の活動のうち、最も人気があるのは家庭学習活動です。3歳でも約46%、4歳以降では半数以上の子どもが通信教育や市販の参考書・問題集などの家庭学習活動をしています。

スポーツ活動は、幼児期に始めることが多いようですが、具体的に何歳くらいから始めるのでしょうか。図5−7はスポーツ、芸術、学習の活動の活動率を示しています。この図からみますと、芸術活動や、塾などの学習活動はゆるやかに増加していきます。これに対し、スポーツ活動は4歳は29.1%ですが、5歳になると49.3%とおよそ20ポイント増えています。4歳〜5歳にかけて、始める子どもが多いようです。

◆活動ランキング ―人気スポーツはスイミングや体操教室、芸術は楽器やリズム遊び―

幼児期に行うスポーツと芸術活動について、ランキングのかたちでみてみましょう(図5−8〜11)。幼児ではスポーツ1位がスイミング(21.2%)で、5人に1人が行っています。2位は体操教室・運動遊び(15.0%)。幼児のスポーツ活動の大半をこの2つのスポーツが占めています。また、体操教室・運動遊びが上位に入ることは幼児の特徴の1つです(図5−8)。「身体を動かすことを楽しむ」や「じょうぶで健康な身体になる」といった、この時期の子どもに対する母親の希望を映し出しているのでしょう。

芸術活動をみると楽器の練習・レッスン(11.4%)のほか、音遊び/リズム遊び(9.4%)、リトミック(7.2%)も1割弱。美術系活動よりも音楽系活動が多いようです。音遊び/リズム遊びやリトミックはとくに幼児期に多く行われる活動です(図5−9)。

◆親子での活動 ―子どもの成長とともに変化―

図5−12〜15は子どもの運動や音楽、芸術活動における親(父親も含む)のかかわりの頻度を示しています。

「子どもといっしょに身体を使った遊びをする」ことが週に1回以上(「週に1回」+「週に2回以上」、以下同)ある親は、3歳でおよそ6割です(図5−12)。ただし、3歳60.7%→4歳48.8%→5歳45.7%→6歳36.3%と子どもの発達とともに減少します。一方、「子どもとスポーツの話をする」などは年齢とともに頻度が増える活動です(図5−13)。週1回以上の親は3歳17.7%→4歳26.4%→5歳35.5%→6歳38.9%と4歳〜5歳にかけて増加するようです。

音楽や美術はどうでしょうか。「子どもといっしょに歌ったり楽器を演奏したりする」は3歳が最も頻度が高く、年齢とともに頻度が減るようです(図5−14)。ただし、3歳では週1回以上が約7割もいる一方で、「ほとんどない」という親子も2割弱います。このほか、「子どもといっしょに家で音楽をきく」も多くの親子は頻度が高い一方で、「ほとんどない」親子も2割を超えます(図5−15)。

親子の活動は、当然ですが子どもの発達とも大きく関係しています。さらに詳しくみてみますと、親子活動はどうやら母親自身の嗜好とも関係しているようです(図表省略)。

<注>
1) この1年間子どもが家庭でしている家庭教師、通信教育、一括購入の教材、市販の参考書・問題集、塾の参考書・問題集、パソコンで配信される教材、パソコン用の学習ソフト、携帯ゲーム機用の学習ソフト、DVDやビデオの映像教材、その他の学習方法・教材。
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