「データで考える子どもの世界」

 若者の仕事生活実態調査報告書−25〜35歳の男女を対象に−

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第1部 基礎データ編

第2章 仕事にかかわる意識

この章では、アンケートデータの結果から、若者の仕事にかかわる意識を概観する。全体的な傾 向としては、やりたい仕事を重視する傾向が共通している一方で、性別や就業形態、結婚の有無などの状況によって、異なる様子もみられた。また、仕事上で必 要な態度・能力に対する自己評価は、就業形態によって異なるだけでなく、充実感をもって仕事に取り組んでいるかどうかとも、関係していることがわかった。

第1節 仕事をする上で重視すること

1.仕事をする上で重視すること(有職者)

仕事をする上でとくに重視することの第1位は、男性有職者だと「自分のやりたい仕事であること」、女性有職者だと「職場の雰囲気がよいこと」。全体的にみると、性別や就業形態を問わず、やりたい仕事であることを重視する傾向にある。

若者は仕事に対して、どのような意識をもっているのだろうか。仕事は生活の糧としての収入を得る手段であるだけで はない。自分のもつ個性や能力を発揮したり、伸ばしたりするといった自己実現、あるいは仕事を通して社会貢献を果たしていくことなど、さまざまな側面を もっている。

また、第1章1節でもみたように、仕事をすることにより、多くの時間が仕事に費やされることにもなる。1人ひとり の限られた時間の中で、家庭生活や趣味活動といった仕事以外の活動との間で、どのようにバランスをとっているのか(とりたいと考えているのか)ということ は、見逃せない観点である。

そこで本節では、若者が仕事をする上でどのようなことを重視するのかをみていきたい。まずは有職者に対して、「仕事をする上で重視すること」を20項目の中から3つまで選んでもらった結果をみよう。

●有職者が重視することの第1位は、「自分のやりたい仕事であること」

はじめに、「仕事をする上で重視すること」について、図2−1−1をみていこう。まずは、有職者全体の傾向から押さえておく。有職者全体での数値は、各項目の横に括弧書きで示してある。

有職者全体でのベスト5は、(1)「自分のやりたい仕事であること」(43.7%)、(2)「給料が高いこと」(37.8%)、(3)「職場の雰囲気がよいこと」(37.4%)、(4)「自分の個性や能力が生かせること」(35.4%)、(5)「長期間安定して働けること」(21.3%)である。ここでは、仕事の内容、収入、職場の様子、能力の発揮、就業の安定性、とさまざまな側面があげられていることがわか る。

図2-1-1:仕事をする上で重視すること(性別)

●有職の男性は「自分のやりたい仕事であること」、女性は「職場の雰囲気がよいこと」を重視

引き続き、図2−1−1で性別にみると、男女ともベスト5 の項目の中身は同じだが、その順位が異なっていることがわかる。男性が重視することの第1位は「自分のやりたい仕事であること」(45.8%)である。これに対して、女性の第1位は「職場の雰囲気がよいこと」(49.8%)であった。ただし、女性も第2位は「自分のやりたい仕事であること」(40.3%)であり、男女とも「やりたい仕事」は重視される傾向にある。

さらにみていくと、いくつかの少数意見について、性別による違いがみられる。「地理的条件がよいこと」(男性 9.6%<女性18.4%)、「育児と両立できること」(男性2.7%<女性17.3%)、「好きな時間に働けること」(男性3.9%<女性11.6%)といった項目は、女性のほうが男性よりも選択している割合が高くなっている。

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