ベネッセ教育総合研究所
朝日ヶ丘小学校
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年間30回以上の公開授業で授業力を向上
 そうした評価規準のスリム化――言い換えれば、単元の構想を練り上げる作業――を支えているのが、すべての教師が最低でも年間2回は体験する公開授業だ。
  「自分の授業を他の教師に見られたくないという教師は少なくありません。その気持ちも理解できますが、それを頻繁に体験するのとしないのとでは、教師としての力量に大きな差が出るのは明らかです」(田村校長) 朝日ヶ丘小学校では、全教師が年に2回以上、合計すると少なくとも年に30回以上は公開授業を実施し、毎回、その授業を振り返る「事後研」を開いている(写真1)。
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▲写真1 事後研の様子。授業者も参観者も活発な意見を交わす
 その事後研において、4年前に導入されたのが「フリーカード法」という評価方法だ。これは、参観する教師が、授業中に気になった点や疑問点などを小さなカードに記入し、左から右へ授業時間帯の書かれた横幅3〜4メートルの模造紙に、時系列で貼り付けていくという方法である。これにより、例えば、左側にカードが集まれば、授業の導入部に問題点があることが一目瞭然になる。
  その後は、一旦、カードをはがし、同じ観点で書かれた意見をまとめ、それをもとに意見交換が開始される。そこで交わされた意見は、直接、模造紙に書き込まれ、検証されるという流れだ(写真2)。
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▲写真2 フリーカードの貼られた模造紙は保存され、その後の検証にも役立てられる
 フリーカード法のメリットの一つに、意見交換が活発化する側面がある。
 5、6年生の社会科と理科を担当する俵原正仁先生は、「会議では、初めはだれからも意見が出ず、後半になってようやく盛り上がり始めて、時間を延長するというパターンがよくあるものです。ところが、フリーカード法では、だれもが最初にカードで言いたいことを提示しますから、最初から最後まで意見が途切れることがありません」と話す。
 フリーカード法で浮かび上がる事象は、実にさまざまだ。教師の立つ位置に始まり、単元構想は適切か、教材研究は十分か、児童の集中を持続できたか、といった点まで多角的な意見が交わされ、当然、それらは評価規準づくりにもフィードバックされることになる。


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