特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教師自身の言語技術が問われる

 「ことば」からのアプローチは、教師1人ひとりが教科の特性を生かし、言葉をテーマにした研究を行う「1人1研究」でも取り組んでいる(図3)。国語を中心に、算数や社会、体育などの授業を通じてコミュニケーション力や表現力の向上を図るもので、教師の力量アップも狙いとする。また、中学校区の教師とテーマごとに「研究同人」を組み、小中連携による共同研究を行うのも大きな特徴だ。
図3
  これまで、言語技術の指導法は、全体研修を通じてパイロット教員が校内に伝えてきた。教師も授業でナンバリングを使ったり、生活の中でも論拠を明確にするように子どもたちを指導したりと、言語技術への意識が高まっている。だが、教師1人ひとりの指導力を更に高める必要があると、三島校長は指摘する。
  「06年の春に、05年度のパイロット教員と4人の教師が他校へ異動しました。それまで頑張ってきたパイロット教員がいなくなり、パイロット教員だけではなく、全教師が言語技術を高めなければならないと痛感しました」
  06年度の夏休みには校内研修を3回開くなど、全教師への浸透を図っている。
  広島市内で唯一パイロット指定の小学校として、市内の小学校へ言語技術指導の手法や教材開発の成果を伝えるのも、鈴が峰小学校の役割の一つだ。既に06年度には、市内計140の小学校のうち27校に向けて言語技術指導を発信する講座を開いている。07年度以降は“パイロット役”として、更に言語技術指導の手法を広めていく重責を担うことになる。
  「自分が子どものころ、言語技術は学校で明確には教えられてきませんでした。指導書があるわけでもありません。だから、子どもたちに説明するためには、さまざまな視点で指導法を検証し、勉強していかなければなりません。子どもにとって、教師は重要な言語環境ですから、自分自身の言語技術を高めなければならないと実感しています」(土井先生)

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