塾・習い事 〜第3回〜
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学校外での学習活動に関する実態調査から、小中学生の通塾率を学年別にみてみると、通塾率は学年が上がるにつれて増加し、平成19年調査では中学2年生で50%を超え、中学3年生では65.2%となっている。
経年で比較してみると、昭和60年調査から平成5年調査にかけて小中ともに全学年で増加し、平成14年調査にかけては、比較可能な学年のうち、小学校低学年で増加、小学校高学年と中学生で減少したものの、平成19年調査にかけては、小中とも比較可能な全学年で増加していることがわかる。
とくに小学校低学年での伸び率が大きく、昭和60年調査から平成19年調査にかけて、小学1年生では、6.2%から15.9%と2.6倍に、小学校2年生では10.1%から19.3%と1.9倍に増加した。
昭和60年調査から平成5年調査にかけて通塾率が大きく増加した背景には、少子化による一人当たりにかける教育費の増加や、受験競争の激化、中学受験率の上昇など小中学生を取り巻く教育環境の変化がみてとれる。また、平成19年調査で再び増加に転じた背景には、学力低下論争やゆとり教育への批判などの影響があるのではないかと思われる。
人口規模別に小学生の学習塾の利用状況を調べた調査結果をみると、「特別区・指定都市」の通塾率が42.3%ともっとも高く、次いで「15万人以上」が36.5%、「5〜15万人」が26.1%、「5万人未満」が20.0%と、人口規模が小さくなるにつれ通塾率が下がっていることがわかる。
通っている塾の種類をみると、「特別区・指定都市」では「進学塾」が18.1%(通塾者の42.7%)、「補習塾」が20.6%(同48.7%)と「進学塾」と「補習塾」の比率にそれほど大きな差はみられないが、それ以外の地域では、「補習塾」の比率が高く、「進学塾」の2〜3倍以上を占めている。
中学受験率が「特別区・指定都市」では高く、人口規模が小さくなるにつれて低下していることと関連しているといえよう。(『進路選択・キャリア教育』第3回【3-2】参照)
小中学生の子どもをもつ保護者を対象に、子どもにもっとも習わせてよかった習い事をたずねた結果をみると、男女ともに「スポーツ系」の習い事が高い値となっており、とくに男子では「スポーツ系」合計で37.3%と4割近い選択率になっている。
女子では、「スポーツ系」合計が20.1%ともっとも高く、次いで「芸術系」合計が18.9%、「学習系」合計が11.1%と続く。「芸術系」の習い事を選んでいる割合は、男子が合計4.3%なのに対し、女子は18.9%と大きな差がみられた。
個々の習い事について詳しくみると、男子では「地域のスポーツチーム」が16.6%ともっとも高く、次いで「スイミングスクール」14.9%、「スポーツクラブ・体操教室」5.8%といずれも「スポーツ系」が上位を占めている。
一方、女子では「スイミングスクール」が12.8%ともっとも高く、次いで「楽器」11.1%、「習字」4.7%となっており、男子と比べて多様なジャンルに分かれていることがわかる。
国際6都市における小学生の習い事の状況を比較してみると、ソウル、北京では「外国語(英語)」がトップで、ともに半数を超えている(ソウル51.5%、北京61.8%)。その他の都市では「外国語」は1〜2割程度と低い値となっている。
東京、ヘルシンキ、ロンドン、ワシントンDCでは「スポーツ」がトップとなっており、とくに欧米3都市では6〜7割と比率が高い(ヘルシンキ63.5%、ロンドン65.2%、ワシントンDC75.5%)。「スポーツ」は、東京、北京が5割程度、ソウルが4割弱と東アジア3都市は相対的に低めとなっている。
同調査によると、ソウル、北京では通塾率が高く(ソウル72.9%、北京76.6%)、習い事も学習系が中心であることがうかがえる。また、ソウル、北京とも調査学年で「英語」が必修教科となっており、外国語の学習塾に通っているケースが含まれている可能性がある。