ベネッセ教育総合研究所が選ぶ「調査データ クリップ!子どもと教育」

子どもと安全

子どもと安全 〜第3回〜

第3回

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  1. 子どもの犯罪被害の不安は、マスコミ報道から
  2. 校舎の耐震化率、都道府県により大きな違い
  3. 10年間で子どもの水死者数は半分に

第1回

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子育ての気がかり、1位は「犯罪や事故に巻き込まれること」 水難事故、夏の3か月に集中 被害場所、未就学は住宅、小中学生は駐車(輪)場など


第2回

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9割以上の学校で防犯マニュアルを活用 出会い系サイトに関連した犯罪被害者の8割が18歳未満 薬物事犯の少年、この10年で減少傾向 など

【3-1】子どもの犯罪被害の不安は、マスコミ報道から

子どもの犯罪被害について不安になる理由

出典
「子どもの防犯に関する特別世論調査」内閣府(平成18年)
調査対象
全国20歳以上の者3,000人(有効回収数:1,834人)

内閣府の「子どもの防犯に関する特別世論調査」において、子どもの犯罪被害の不安についてたずねた結果をみると、74.1%が不安があると回答している。
 不安になる理由をみてみると、「テレビや新聞で、子どもが巻き込まれる事件がよく取り上げられるから」が85.9%ともっとも高い。マスコミによって、子どもが巻き込まれる事件について取り上げられることが犯罪被害についての不安に大きく影響していることがわかる。
 次いで、「地域のつながりが弱く、近所の住民の顔をほとんど知らないから」(33.2%)、「子どもが習い事などで遅く帰ることがあるから」(31.1%)、「近所に暗く人通りの少ない道や公園や駐車場があるから」(30.8%)と続いている。

「近所で子どもが巻き込まれた事件が発生したから」は12.1%で、マスコミ報道の85.9%と比べるとかなり低い値であるが、不安がある人の約8人に一人の割合であることを考えると、子どもの犯罪被害が身近でおきていることがわかる。

【3-2】校舎の耐震化率、都道府県により大きな違い

小・中学校の耐震化率(上位・下位各10都道府県)

出典
「公立学校施設の耐震強化改修状況調査の結果について」文部科学省(平成20年)
調査対象
全国の公立小学校・中学校

公立学校施設の耐震改修状況の調査結果をみると、全国の公立小・中学校の耐震化率の平均は62.3%で、前年度よりも3.7ポイント増加している。耐震化されていない37.7%の内訳は、耐震性がない建物で未改修のものが全体の33.9%、耐震診断未実施建物が3.8%となっている。

都道府県別にみてみると、耐震化率がもっとも高いのは神奈川県の90.4%で、耐震化率がもっとも低いのは長崎県の39.0%となっている。
 耐震化率の上位10都道府県は、どこも耐震化率が7割を超えているのに対して、下位10都道府県の耐震化率は、ほぼ5割以下となっており、都道府県により公立小・中学校の耐震化の取り組み状況に大きな差異があることがわかる。

なお、学校ごとの耐震診断の結果や耐震性の有無を公表している設置者は51.8%と約半数であるが、前年度に比べると29.6ポイント増加し、大きな伸びがみられる。

【3-3】10年間で子どもの水死者数は半分に

過去10年間の水難発生状況

出典
「平成19年中における水難の概況」警察庁生活安全局地域課(平成20年)
調査対象
全国

過去10年間の水難の発生状況をみてみると、発生件数、水死者数ともに減少傾向にあることがわかる。
 なかでも子ども(中学生以下)の水死者数は、平成10年には162人だったが、平成19年には82人とこの10年間で半数近くに減少している。子どもが活動する場所の安全対策や安全教育が大きな成果を示していると思われるが、水遊び等の外での遊びそのものが減少していることも要因として考えられる。
 なお、子どもの水死者の発生場所や行為については『子どもと安全』第1回【1-3】を参照のこと。

統計の取り方が少し異なるが、約30年前のデータとして、厚生白書(昭和54年版)に学齢別水死者数の統計があり、昭和53年の水死者は、幼児772人、小学生304人、中学生79人となっている。以降、子どもの水死者は非常に大きく減少していることがわかる。

参考資料
「子どもの防犯に関する特別世論調査」内閣府
「公立学校施設の耐震改修状況調査の結果について」文部科学省
「平成19年中における水難の概況」警察庁