ベネッセ教育総合研究所が選ぶ「調査データ クリップ!子どもと教育」

進路選択・キャリア教育

進路選択・キャリア教育 〜第2回〜

第2回

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  1. 将来なりたい職業は、あこがれから現実的・安定へ
  2. インターンシップの実施率は年々増加
  3. 「仕事を通じて社会貢献」の意識が強まる
  4. 就職後1年目で離職する割合が高い

第1回

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大都市で中学受験の希望が急増 小・中学生の段階で半数が文系・理系を意識 保護者の8割、大学卒に何らかのメリット期待 など


第3回

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企業が求める能力と若者の強みにギャップ 中学受験に地域(人口規模)による違い 大卒・短大卒の母親はいい大学、他は資格を重視


第4回

「他の大学に入り直したい」と思う学生は4割 6〜8割の子どもが身近で現実的な将来をイメージ

【2-1】将来なりたい職業は、あこがれから現実的・安定へ

なりたい職業ベスト5

出典
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」ベネッセ教育研究開発センター(2004)
調査対象
小学4年生〜高校2年生(小学生4,240名/中学生4,550名/高校生6,051名)

小・中・高校生を対象に将来なりたい職業についてたずねた調査結果をみると、小中学生男子では1位「野球選手」、2位「サッカー選手」とスポーツ選手が上位に並び、3位以下には、小学生は「医師」「研究者・大学教員」「大工」といった専門職や技術職、中学生では「学校の先生」「医師」「公務員」といった安定した職業が並んでいる。

一方、小中学生女子では1位「保育士・幼稚園の先生」、2位「看護師」と従来からの女性の専門性を活かした職業が依然として人気が高く、3位以下に「マンガ家・イラストレーター」「芸能人」「ケーキ屋・パティシエ」などがあがってくる。

高校生になると、小中学生の男子に人気だった「野球選手」「サッカー選手」は上位20位からもはずれ、女子の「マンガ家・イラストレーター」「芸能人」「ケーキ屋・パティシエ」などもベスト10から姿を消した。高校生では「学校の先生」や「公務員」「保育士・幼稚園の先生」さらに医療系の技術者など、男女ともに堅実で安定した専門性の高い職業へと希望が変化していくことがわかる。

【2-2】インターンシップの実施率は年々増加

大学・短大でのインターンシップ実施率の推移

出典
「平成17年度インターンシップ実施状況調査」文部科学省(2006)
調査対象
全国公私立の大学(715校)・短期大学(415校)

大学等におけるインターンシップ(学生が在学中に企業等において自らの専攻や将来のキャリアに関連した職業体験を行うこと)の実施状況をみると、大学・短大でのインターンシップ実施率は、平成8年には大学が17.7%(104校)、短大が6.4%(36校)であったのが、年々増加の一途をたどり、平成17年にはそれぞれ62.5%(447校)、37.8%(157校)となった。

また、同調査によると、インターンシップの実施学年は、大学では3年生で実施する学校が74.9%(1年3.4%、2年13.3%、4年6.8%)、短大では1年生で実施する学校が80.8%(2年17.0%)と圧倒的に多い。
 大学・短大が職業選択を円滑に進めるための支援の一つとしてインターンシップを積極的に実施している様子がうかがえる。

【2-3】「仕事を通じて社会貢献」の意識が強まる

大学生の仕事観

出典
「学生満足度と大学教育の問題点」ベネッセ教育研究開発センター(ベネッセ教育総研)(2004)
調査対象
主にゼミレポーターを中心とする2〜4学年に在籍する大学生
ゼミレポーター:(株)ベネッセコーポレーションの通信教育講座(進研ゼミ高校講座)を終了後、進学した大学の情報をレポートしてくれている学生

大学生の仕事観をたずねた調査結果をみると、「仕事で経済的に豊かな生活」「仕事から多くの収入を得ることは重要」といった、仕事を経済的な側面で捉えた項目の肯定指数が近年減少している。
 1997年には「仕事で経済的に豊かな生活」の肯定指数は51.7ポイント、「仕事から多くの収入を得ることは重要」は56.9ポイントと、ともに50ポイントを超えていたが、2004年にはそれぞれ34.3ポイント、31.6ポイントと減っている。日本の経済環境が変化するなか、大学生の仕事観が変わりつつある様子がうかがえる。

その一方で、「仕事を通じて社会貢献」の肯定指数は年次ごとに増加しており、1997年には43.7ポイントであったのが、2004年には58.1ポイントとここ7年間で14ポイント増加した。学生側の意識として、仕事を社会への貢献と捉えようとする意識が強まってきているといえよう。

また、「仕事とは自分の能力や個性を活かすための営み」「仕事を通して自分自身の成長」といった仕事を自己実現的な側面で捉えた項目については、肯定指数は高いものの、年次ごとに減少している。

【2-4】就職後1年目で離職する割合が高い

新規学校卒業者の在職期間別離職率(平成15年3月卒業者)

出典
「平成19年度版 青少年白書」内閣府(2006)
(※資料 新規学校卒業就職者の就職離職状況調査 厚生労働省)
調査対象
全国

新規学校卒業者の離職状況をまとめた調査結果から、平成15年3月卒業者の就職後3年間の就職離職状況をみると、中学校卒業者の離職率は1年目48.0%、2年目14.5%、3年目7.9%(累計70.4%)となっており、高等学校卒業者は1年目25.1%、2年目14.3%、3年目9.9%(同49.3%)、大学卒業者は1年目15.3%、2年目11.0%、3年目9.4%(同35.7%)となっている。

いずれの学校段階の卒業者においても、就職後1年目に離職する割合がもっとも高く、とくに中学校卒業者では48.0%と半数近くが1年目で離職している。また、就職後3年間で、中学校卒業者では7割、高等学校卒業者では約5割、大学卒業者では3割以上が離職している。この傾向は、同調査の「在職期間別離職率の推移」(平成11年〜平成17年)をみても、年による大きな違いはなく、ほぼ同じ値を示している。

参考資料
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」ベネッセ教育研究開発センター
「平成17年度インターンシップ実施状況調査」文部科学省
「学生満足度と大学教育の問題点」ベネッセ教育研究開発センター(ベネッセ教育総研)
「平成19年度版 青少年白書」内閣府