子育て 〜第1回〜
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児童(18歳未満の未婚の者)の有無別にみた世帯数の構成割合の年次推移をみると、2006年では、児童のいる世帯は1,297万3千世帯で、全世帯に占める割合は27.3%となっている。2006年は出生数が前年より増加したこともあり、児童のいる世帯はわずかに増加したものの、1986年の46.3%からみると大きく減少していることがわかる。とくに、児童が2人いる世帯が22.3%から11.7%、3人以上いる世帯が7.7%から3.7%と、この20年間で半減しており、児童のいる世帯数の減少だけでなく世帯内の児童数も減少傾向にあることがわかる。
厚生労働省の「人口動態統計」によると、年間出生数は第1次ベビーブーム(1947年〜49年)には270万人、第2次ベビーブーム(1971年〜74年)には210万人であったのが、1975年に200万人を割り込み、以降減少を続け、1984年には150万人を割り込んだ。1991年以降は小幅な増減はあるものの緩やかな減少傾向が続いている。2005年には合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に出産する子どもの平均人数を推定する値)が過去最低の1.26人を記録するなど、わが国の少子化の現状は楽観できない状況にあるといえよう。
保育所の利用児童数の年次推移を都市部(首都圏、近畿圏の7都府県およびその他の政令指定都市・中核市)とそれ以外の地域でみてみると、平成14年には都市部約78万9千人、それ以外の地域約109万人と、都市部のほうが30万人強少なかったが、平成19年には、都市部約100万2千人、それ以外の地域約101万4千人とほぼ同じ割合となった。
都市部以外の地域では利用児童数は減少傾向にあるものの、都市部での増加が大きく、全体では保育所の利用児童数は年々増加している。
一方、保育所の待機児童数をみると、平成19年の全待機児童数は約1万8千人で、2万6千人を超えていた平成15年から4年連続して減少している。平成14年からの「待機児童ゼロ作戦」や平成16年12月策定の「子ども・子育て応援プラン」に基づく保育所受入児童数の拡大など、待機児童解消への取り組みの効果が着実にあらわれてきているといえる。
待機児童数を都市部とそれ以外の地域でみてみると、平成19年の待機児童数は都市部が13,437人、それ以外の地域が4,489人となっており、都市部での待機児童が全待機児童の4分の3を占めていることがわかる。
子どものいる女性(20歳〜49歳)を対象に、少子化対策のために充実してほしい保育所のサービスについてたずねた調査結果をみると、「待機しなくても入所できるよう、保育所の数や定員を増やす」が62.8%ともっとも多く、以下「延長保育(基本の開所時間である8時間を超えて行われる保育)の充実」(51.9%)、「一時保育(緊急時など、一時的に利用すること)の充実」(48.6%)、「病児保育(風邪など病気の子どもをあずけること)の充実」(44.4%)、「休日保育の充実」(34.3%)となっている。「そのままでよい」と答えた人は、いなかった。
保護者の年齢別にみると、「待機しなくても入所できるよう、保育所の数や定員を増やす」は20歳代で高く、「病児保育の充実」は30歳代で高い。一方、「延長保育の充実」「一時保育の充実」「休日保育の充実」などは、保護者の年齢が高くなるほど要望が強くなる傾向にある。
また同調査によると、認可保育所以外の施設・事業を「利用したことがある」と答えた人は21.8%で、利用した施設や事業としては「認可外保育所(無認可保育所)」が51.6%と、もっとも多くあげられている。保育所に入れない待機児童が認可外保育所を利用している実態がうかがえる。
母子世帯の状況について調べた調査結果をみると、母子世帯の総数は、昭和58年から平成15年の20年間で約72万世帯から約123万世帯へと大幅に増加している。母子世帯になった理由別世帯数は、「死別」が約26万世帯から約15万世帯へと減少傾向にある一方で、「離婚」が約35万世帯から約98万世帯へと、20年間で2.8倍に増えた。
母子世帯になった理由別の構成割合の変化をみると、「死別」の占める割合が年々減少する一方で、「離婚」の占める割合が、昭和58年の49.1%から平成18年の79.7%へと大きく増加している。平成18年には「死別」が9.7%と1割を下回り、「その他」を含めた生別世帯が全体の約9割を占めた。
同調査によると、平成17年度の母子世帯の平均収入は213万円で、全世帯の563.8万円の4割にも満たない厳しい状況となっている。「困っていること」のトップは「家計」(平成18年、46.3%)で、「子どもについての悩み」では5割以上が「教育・進学」をあげている。母子世帯の家計に教育費の負担が重くのしかかる状況がみてとれる。