子育て 〜第3回〜
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小中学生の子どもをもつ母親に、子育てで心がけていることをたずねた調査結果をみると、「とても心がけている」割合がもっとも高かったのは、「あいさつやお礼ができるようにしつけている」(67.8%)で、次いで「友だちづきあいは大切にするように教えている」(58.3%)、「自分でできることは自分でするようにしつけている」(50.9%)となっている。母親の多くが子育てにおいて人間関係を大切にすることや、自立に向けた基礎的なしつけを中心に心がけている様子がうかがえる。
一方、中学生で所有率が6割を超えた携帯電話(『携帯電話』第3回【3-1】参照)については、携帯電話を持っている小学生の母親の52.7%、中学生の母親の40.9%が携帯電話の使い方について「とても心がけている」と回答しており、心がけていないという母親は少ない。小学生に携帯電話を持たせる際には、しつけに心がけている様子がうかがえる。
育児期の妻・夫に、乳幼児のいる生活の中でストレスになり得る12項目について経験の有無と、ストレスの度合いをたずねた調査結果から、妻のストレスについて10項目を取り上げてみた。
育児期の妻がストレスを「経験したことがある」と回答したものの上位3項目は、「あなたがおもちゃや散らかっているものを片付け続けている」(93.0%)、「子どもに遊んでとせがまれる」(80.4%)、「自分のための時間を確保するのが難しい」(74.7%)となっている。
経験している割合が高く、ストレスも強く感じている(「非常にイライラする」+「ややイライラする」)ものは、「自分のための時間を確保するのが難しい」(経験率74.7%、ストレス55.2%)、「子どもに文句や不平を言われたり、駄々をこねられたりする」(経験率66.4%、ストレス56.0%)であった。
子どもとの関係において、文句や不平を言われたり駄々をこねられたりすることにはストレスを感じる人が多いが、遊んでとせがまれることに対しては、ストレスと感じる人は少ないことがわかる。
一方、経験したことがある割合は低いが、経験した人のストレスが高いものは、「夜泣きがひどい」(経験率39.4%、ストレス60.5%)で、経験した人の中での割合としては第1位となっている。
生活技術の実技調査から、子どもがふだん接する機会が多い5項目を取り上げてみた。
正しくできる割合が高かったのは、「生卵を黄身をこわさずに正しく割れる」「ひもを前で正しく花結びができる」で、いずれも小学校6年生で5割を超えている。ひもの花結びについては、小学校1年生では12.5%だったものが、6年生では58.5%と大きく増加し、衣服や靴などのひもを結ぶ機会が増えるにつれ、折々大人の指導がよく行われているものと思われる。
「箸を正しく持って使える」割合は、年齢とともに増える傾向にあるものの、小学校全体で15.7%、中学校全体で23.1%、高校で23.7%と、2割強にとどまっている。親の世代(26歳〜50歳)をみても、いずれも50%台前半で推移しており、約半数の親が箸を正しく使えていないことがわかる。このことが子どもたちに大きな影響を与えていると思われる。
「鉛筆を正しく持って使える」割合は、どの学齢段階においても1割以下と極端に低く、加齢による増加もあまりみられない。親の世代をみても、30歳台〜40歳台の前半までは15%前後、46〜50歳は27.5%と、正しく持てる人が3割にも満たないことがわかる。鉛筆の持ち方は低年齢のうちに身につき、その使い方が固定してしまうものと思われる。
さらに、意識調査と実技調査の結果を対比させてみると、鉛筆を正しく持って使えていると思う割合と実技結果の差は、各年齢層においても38〜71ポイントの差があり、意識と実態には大きなズレがあることがわかる。
家庭教育に関する国際比較調査から、自立のしつけについて、15歳のときに一人でできると思うものについてたずねた結果をみてみると、「身の回りの整理整頓をする」「マナーを守る」ことができると思う親は、日本、韓国、アメリカ、フランスとも85%以上で、ほとんどの子どもは「一人でできる」と考えられている。
「家族のために食事を作る」は、アメリカで約8割の親ができると思っているが、日本(54.9%)、韓国(38.5%)、フランス(56.7%)では低く、国によって差が生じている。これを子どもの性別でみると、4か国とも女の子への期待が大きいが、その差がもっとも大きいのは日本で、27.3ポイントと他の国を大きく上回っている(フランス16.1ポイント、韓国17.0ポイント、アメリカ11.8ポイント)。
「働いて報酬を得る」も国によって差が現れた項目で、アメリカは、男女ともに8割以上が「できる」と考えられており、他の3か国に比べて圧倒的に高い割合を示している。