子育て 〜第4回〜
|
幼稚園児・保育園児をもつ母親に、子どもを育てる上でとくに心がけていることをたずねた調査結果をみると、5年前と比べて多くの項目で選択率が上昇しており、家庭での教育やしつけに熱心な母親が増えたことがわかる。
とくに「朝起きる時間や夜寝る時間など規則正しい生活リズムが身につくようにしつけている」は、2003年調査では56.4%だったのが、2008年調査では70.7%と、5年前と比べて14.3ポイント上昇した。「早寝、早起き、朝ごはん」といった基本的生活習慣の重要性が、幼児をもつ保護者に浸透しつつある様子がうかがえる。
また、「手作り料理を食べさせるようにしている」(同40.7%→50.6%)、「テレビゲームや携帯ゲーム機で遊ぶ時間は決めている」(同18.8%→29.8%)も、約10ポイント上昇した。
家庭で心がけているものでとくに多いものは、「基本的なあいさつやお礼ができるようにしつけている」(87.8%)、「一人でできることは、できるだけ自分でさせるようにしている」(73.8%)、「友だちと仲よくするように教えている」(73.5%)で、これらの項目は2003年調査でも同様に選択率が高かった。
幼稚園児・保育園児をもつ母親の子育て観についてたずねた調査結果をみると、「子育ても大事だが、自分の生き方も大切にしたい」と考える母親が、2003年調査では63.8%であったのが、2008年調査では56.7%と、この5年間で7.1ポイント減少した。自分自身の生き方よりも子育てのほうを優先する母親が増えていることがわかる。
また、しつけについては、「わがままを言ったら、わかるまで言葉でさとす」(2003年62.4%→2008年65.0%)、愛情面では、「子どもを十分に愛している自信がある」(同70.8%→72.7%)と思っている母親が微増した。
全体的に子育てや子どもの教育に熱心な母親が増えている様子がうかがえる。家庭や地域の教育力の低下が叫ばれ、家庭の教育力の重要性が認識されつつあるのだろうか。
首都圏の認可保育園に入園申請をした母親を対象に入園状況等をたずねた調査結果をみると、入園申請をした母親のうち、4月に子どもが認可保育園に入園できたのは47.2%と半数を割った。「自治体の助成を受けている認可外保育所」(6.9%)、「その他の認可外保育施設」(2.4%)等を合わせても、実際に保育サービスを利用できたのは6割にとどまっており、4割の母親は預け先がどこにも決まらなかったことがわかる。
預け先が決まらなかった母親に子どもの保育をどうしたかをたずねたところ、「仕事、または再就職するのをやめ、自分で子どもの世話をすることにした」が56.1%ともっとも多く、次いで「自分または配偶者の育児休業を延長し、子どもの世話をすることにした」(23.0%)、「祖父母・親戚にあずかってもらうことにした」(11.5%)と回答している。
首都圏では、子どもが認可保育園に入園できず、どこにも預け先が決まらなかった母親の半数以上が、復職や再就職をあきらめる傾向にあることが浮き彫りとなった。
全国の幼稚園・保育所を対象に、学級(クラス)全員が一斉に行う活動についてたずねた調査結果をみると、幼稚園・保育所ともに、国公立・公営か、私立・私営かでは活動内容に大きな違いがあることがわかった。
とくに、「ひらがな(書き)のワークブック」「ひらがな(読み)のワークブック」「数、計算のワークブック」といった、学習にかかわる活動についてみると、国公立・公営と私立・私営の差が目立つ。私立の幼稚園と私営の保育所では、「ひらがな(書き)のワークブック」「ひらなが(読み)のワークブック」の実施率はともに4割を超えている。私立・私営ではより保護者の要望を反映し、学習にかかわる活動が行われているものと思われる。
また、幼稚園と保育所を比べると、国公立幼稚園より公営保育所のほうが実施率の高い項目が多い。幼稚園に比べて保育所のほうが実施率の高い活動が多いのは、保育所のほうが、在所時間が長いことも影響しているものと思われる。