ベネッセ教育総合研究所が選ぶ「調査データ クリップ!子どもと教育」

子育て

子育て 〜第5回〜

第5回

  1. 「家事・育児に今以上にかかわりたい」父親が増加
  2. 「自分は妻に必要とされている」と感じる父親が減少
  3. 2004年に比べ、父親・母親との会話が増加

第1回

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子どものいる世帯が減少、世帯内児童数も減少傾向 保育所の利用児童数増加、待機児童数は減少傾向 少子化対策で望まれる保育所増、「現状に満足」はゼロ など


第2回

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6割の母親が、子育ても自分の生き方も大切にしたい 子どもの成長とともに変化する子育ての悩み 日本の子育て 経験より育児書 など


第3回

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母親が心がけるしつけは人間関係の大切さ 鉛筆を正しく持てる小・中・高生は1割以下 15歳のときに一人でできると思うこと、日本、韓国で低い傾向 など


第4回

自身の生き方よりも子育てを優先する母親が増加 入園が決まらなかった母親の半数以上が仕事を断念 幼稚園・保育所とも、公私で一斉活動の内容に違い など

【5-1】「家事・育児に今以上にかかわりたい」父親が増加

父親の家事・育児への参加意識

出典
「第2回 乳幼児の父親についての調査 速報版」Benesse次世代育成研究所(2010)
調査対象
首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)の0歳〜6歳(就学前)の乳幼児を持つ父親 4,574名

乳幼児を持つ父親の家事・育児への参加意識をみると、「家事や育児に、今以上にかかわりたい」と考えている父親は54.2%であり、2005年調査に比べて6.3ポイント増加した。

具体的にどのようなことにかかわりたいのかをみてみると、「子どもと一緒に外で遊ぶ」が74.3%ともっとも多く、次いで「子どもと一緒に室内で遊ぶ」(44.1%)、「子どもをお風呂に入れる」(29.4%)、「子どもを叱ったり、ほめたりする」(29.2%)と、育児にかかわる項目が上位を占めた。
 一方、家事にかかわる項目は、「食事のしたくをする」(15.3%)、「買い物をする」(9.0%)、「掃除をする」(7.6%)、「食事の後片付けをする」(6.4%)と、いずれも1割前後にとどまっている。

同調査で、実際に父親が「現在、かかわっている家事・育児」をみてみても、「ごみを出す」を除いて育児にかかわる項目が上位を占めており(図表省略)、家事よりも育児のほうに積極的な父親像がみえてくる。

【5-2】「自分は妻に必要とされている」と感じる父親が減少

父親の家族とのかかわり

出典
「第2回 乳幼児の父親についての調査 速報版」Benesse次世代育成研究所(2010)
調査対象
首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)の0歳〜6歳(就学前)の乳幼児を持つ父親 4,574名

乳幼児を持つ父親に配偶者とのかかわりについてたずねた結果をみると、「自分は妻に必要とされている」(「とてもあてはまる」)と回答した父親は21.1%で、2005年調査と比べて14.2ポイント減少した。「妻と自分は、互いに心の支えになっている」(「とてもあてはまる」)は22.9%で、4年前と比べあまり変化はない。

一方、7〜8割の父親が子どものことやそれ以外のことを「妻と毎日話している」(「とてもあてはまる」+「まああてはまる」)と回答したのに対し、「自分の仕事・生活上の悩みを妻に相談している」と回答した父親は4割にとどまった。

同調査で、「父親として、今後不安なこと」をたずねた結果をみてみると、「将来の子どもの教育費用が高いこと」「育児費用の負担が大きいこと」「自分の収入が減少しないかどうか」といったお金にかかわる項目が上位を占めた。経済的・社会的な不安感が、父親としての自信を失わせる一因となっているのかもしれない。

【5-3】2004年に比べ、父親・母親との会話が増加

親との会話頻度と内容(中学生、父親・母親別)

出典
「第2回 子ども生活実態基本調査 速報版」ベネッセ教育研究開発センター(2010)
調査対象
小学4年生〜高校2年生 13,797名

小学4年生から高校2年生を対象に、親との会話の頻度をたずねた結果をみると、2009年調査では2004年調査と比べ、父親との会話、母親との会話が増えていることがわかった。

中学生について詳しくみてみると、父親や母親と「よく話をする」+「ときどき話をする」割合は、どの項目においても増加している。とくに「友だちのことについて」話す比率は、父親とが24.0%(2004年)から31.3%(2009年)へ7.3ポイント、母親とが57.2%から66.4%へ9.2ポイントと、もっとも増加幅が大きい。また、「学校でのできごとについて」話す比率も、父親6.2ポイント(2004年:32.5%→2009年:38.7%)、母親5.4ポイント(68.4%→73.8%)と、ともに5ポイント以上増加した。
 一方、「将来や進路のことについて」の会話などは、2ポイント前後の増加にとどまっている。

男女別に、もっとも増加幅が大きかった項目をみてみると、女子では、父親との「友だちのことについて」の会話が22.1%から30.1%で8.0ポイント、男子では、母親との「友だちのことについて」の会話が45.8%から57.1%で11.3ポイント増加しており(図表省略)、親子関係をみるうえで、大変興味深い。

参考資料
「第2回 乳幼児の父親についての調査 速報版」Benesse次世代育成研究所
「第2回 子ども生活実態基本調査 速報版」ベネッセ教育研究開発センター