学校・教員 〜第1回〜
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小中学生の保護者を対象に、20項目にわたる能力や態度について、学校教育のなかで身につける必要性が高いかどうかをにたずねた調査結果をみると、身につける必要性が「とても高い」または「やや高い」と回答した割合は、すべての項目で6割を超えており、さまざまな能力を学校で身につけてほしいと期待していることがわかる。とくに必要性が高い(「とても高い」「やや高い」の合計)と回答した割合が高かったのは、「教科の基礎的な学力」(小学生保護者93.3%、中学生保護者91.4%)、「人間関係を築く力」(同92.7%、91.1%)であった。
小中学校を比較すると、上位4項目は同じであるが、中学校では1位の「教科の基礎的な学力」に加えて「受験に役立つ学力」が第5位(86.6%)にあがっており、学習面での期待がより高まるようすがうかがえる。
また、同様の20項目について学校外の教育で身につける必要性が高いかどうかをたずねた結果をみると、小中学校とも学力に関する項目への期待度は低くなる一方で、「善悪を判断する力」(小学生保護者86.6%、中学生保護者88.0%)がもっとも高くなった。学校外ではこのほかに「社会生活に必要な常識」「基本的な生活習慣」など学力関連以外の項目が高くなっている。
満9歳から満14歳までの児童・生徒を対象に、学校生活に対する意識をたずねた調査結果をみると、「友達との関係がうまくいっている」では、「あてはまる」「まああてはまる」と回答した割合が95.5%と非常に高く、多くの子どもが学校での友人関係に満足していることがわかった。「学校の行事(運動会や文化祭など)に熱心に参加している」も88.3%の児童・生徒が「あてはまる」「まああてはまる」と答えている。
また、「先生との関係がうまくいっている」「学校の授業がよくわかっている」でも、8割以上の児童・生徒が「あてはまる」「まああてはまる」と回答しており、多くの子どもが学校生活に満足している様子がうかがえる。
しかし学校段階別にみると、「学校の授業がよくわかっている」に「あてはまる」「まああてはまる」と答えた小学生が90.3%であるのに対し、中学生は78.8%、「授業中、自分から手を上げて発言する」では、「あてはまる」「まああてはまる」と答えた小学生が65.9%であるのに対し、中学生は47.3%と、授業に関する項目で小中学生間で10ポイント以上の差がみられた。
保護者を対象に子どもが通う学校の教員に対して満足しているかどうかをたずねた結果をみると、全体では「満足」(「非常に満足している」「満足している」の合計)が27.3%、「どちらともいえない」が44.3%、「不満」(「不満である」「非常に不満である」の合計)が28.4%となっており、満足している保護者、不満を感じている保護者がともに約3割いることがわかった。
子どもの学年別にみると、「満足」と回答した割合は、小学校低学年34.8%、小学校高学年21.9%、中学校24.7%、高等学校26.9%であり、小学校低学年で「満足」の割合が高いことがわかる。
学校設置者別にみると、「満足」と回答した割合は、中学校では公立中学校が19.6%、国私立中学校が58.0%、高等学校では公立高等学校が21.4%、国私立高等学校が35.8%となっており、公立と国私立の間に大きな開きがみられた。
同調査で「不満」と答えた保護者に不満である点をたずねたところ、いずれの学年・学校設置者別においても第一にあげられたのが「児童・生徒に対する指導力不足」(69.7%)であった。
全国の市区教育委員会に学校選択制(就学校指定の際、保護者からの事前の意見聴取を踏まえて就学すべき学校の指定をすること)の導入状況をたずねた調査結果をみると、「導入している」との回答が小学校14.9%、中学校15.6%、「導入していないが、導入を検討中である」が同18.0%、18.1%であった。
実際に学校選択制を導入している市区教育委員会に対して、導入して良かった点をたずねた結果、小学校においては「保護者の学校教育への関心が高まった」が49.5%ともっとも多く、中学校では「子どもが自分の個性に合った学校で学ぶことができるようになった」が59.4%ともっとも多かった。
反対に、学校選択制を導入して悪かったと思う点があるかをたずねた結果では、小学校で26.7%、中学校で31.1%が「ある」と回答している。「ある」と回答した市区教育委員会がデメリットとしてあげたなかでもっとも多かったのは、小中学校ともに「通学距離が長くなり、登下校時の児童・生徒の安全の確保が難しくなった」(小学校66.7%、中学校57.6%)であり、次いで「学校と地域との連携が希薄になった」(同37.0%、30.3%)であった。