学校・教員 〜第2回〜
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公立小学校の教員を対象に、それぞれの教科や領域について指導することが得意かどうかをたずねた調査結果をみると、「算数」の指導を得意(「得意」「どちらかというと得意」の合計)とする教員が86.0%ともっとも多く、次いで「国語」59.5%であった。その一方で国語を苦手(「苦手」「どちらかというと苦手」の合計)とする教員も39.3%いた。
また、「社会」では得意45.5%/苦手50.2%、「理科」では得意43.6%/苦手49.5%、「道徳」では得意47.2%/苦手51.0%、「総合的な学習の時間」では得意37.5%/苦手57.8%と、いずれの教科・領域においても得意よりも苦手とする回答が多かった。
同調査では、教員の経験年数別の分析もしており、それによると教職経験年数が増すにつれて得意とする割合が増加する傾向にあった。しかし理科だけは、教職経験年数による変化があまりみられないことがわかった。
平成19年3月末現在の公立の小中学校の教員の年齢構成をみてみると、教員の定年退職者は今後増え続け、小学校教員では10年後に、中学校教員ではその3年後にピークを迎える。ピークの年齢を過ぎると若年ほど教員数が少ない傾向にあり、採用に関してこのままの傾向が続けば、教員の総数は減少し続けることになる。
実際に平成9年から平成19年の10年間で、小学校教員は420,901人から418,206人と2,695人減少し、中学校教員は270,229人から249,585人と20,644人の減少となっている。小学校の児童数(昭和56年の1,190万人から減少し続け、平成19年には過去最低の713万人)、中学校の生徒数(昭和61年の610万人から減少し続け、平成18年には過去最低の360万人)ともに減少傾向にあるとはいえ、教員不足は確実に進行中である。
これらに備え、文部科学省では教員採用の予定数の増加や採用制度の改革などに取り組んでいるが、ベテラン教員の大量退職は、ただ単に数の不足というだけでなく、ベテラン教員が現場で身につけた技術やノウハウという無形の財産の継承がなされないという側面も持っており、教育の質という面からみても、問題はより深刻であるといえよう。
学級編制基準や教職員定数を定めた「義務教育標準法」をみると、昭和33年の制定当時、小中学校の標準(学級の上限人数)は50人であったが、「義務教育段階において、一人ひとりの児童生徒の能力と適性に応じたきめ細かな教育を行うため、教員一人当たりの児童生徒数を少なくすることが重要である」との認識から、その後数回の改正を経て現在では、小中学校の標準は40人とされている。
実際に全国の国公私立学校の一学級あたりの児童・生徒数の推移をみてみると、昭和25年には小学校44.3人、中学校45.9人であったのが、平成17年にはそれぞれ26.1人、30.7人にまで減少してきている。しかし、OECD各国平均(初等教育21.6人、前期中等教育23.9人)と比べると、いずれもOECD各国平均を上回っており、日本はOECD加盟国の中では一学級あたりの児童・生徒数が多い国の一つとなっている。
学校の人事に関して学校長にたずねた調査結果をみると、すべての項目で「そう思う」(「そう思う」「まあそう思う」の合計)が半数を超えた。とくに「校長の具申権を強めてほしい」が94.4%ともっとも多く、次いで「特色ある学校経営を行ううえで必要となる人材が不足している」(82.7%)、「校長にも採用権がほしい」(79.4%)となっている。
同調査の別の質問では「教職員の異動に際して具申した意見が反映されているか」との問いに、「反映されている」との回答が約6割あった。その一方で「反映されていない」といった回答も3割強ある。また、「必要とする人材が異動の際に割り当てられていると感じるか」との問いに、「感じない」との回答が57.9%あり、「感じる」の41.0%を上回っていた。
人材不足の現状と、必要とする人材確保に関する権限を強めてほしいと感じている学校長の心の内がみてとれる。