教育フォーカス

【特集14】「問いのデザイン」でアクティブ・ラーニングの「種」を育てる

【導入編:1】課題提起 [2/4]

Ⅱ.アクティブ・ラーニングの定着に向けて 
― アクティブ・ラーニングの種は先生の中に既にある ―

アクティブ・ラーニングを校内に定着させていくためには、次のようなことがポイントになると考えています(図1)。

まず、先生自身が、「自分にもアクティブ・ラーニングはできる」と実感することです。多くの先生は、そもそもこれまでにアクティブ・ラーニングを体験として理解する機会が、ほとんどなかったのではないでしょうか。経験の少なさからくる不安や疑問をぬぐい去り、自分もできるのだと自信を持ってもらうのです。

 

子どもの成長を願う先生であれば、必ず授業や特別活動、部活動などで、子どもに考えさせる活動をしたことがあると思います。まずは、その経験を掘り起こしてみてください。アクティブ・ラーニングとは何かをイメージできるでしょう。

0を1にするのはとてもハードルが高いものですが、既に先生方の中にアクティブ・ラーニングの種はあるのです。その種を基にすれば、授業でどのようなアクティブ・ラーニングができるのかを考えるハードルがぐっと低くなるのではないでしょうか。

私の経験上、導入時に行うアクティブ・ラーニングとして理想的なのは、10分間のアクティブ・ラーニングを月2回程度行うことです。月1回では忘れやすく、かといって、月4回やろうとするとハードルが高いものがあります。そして、10分程度であれば、進度の調整がしやすく、時間の捻出もしやすいでしょう。少し工夫すれば実現可能という敷居の低さが、導入時には大切です。

もう一つの重要なポイントは、校内で、教科を超えて教員が指導について話し合う関係を築くことです。アクティブ・ラーニングの種はどの先生も持っていたとしても、先生自身が小学校から大学までの学校教育の中で、アクティブ・ラーニングを取り入れた授業をほとんど受けたことがありませんから、教科指導にどう取り入れるのか参考になる原体験がない先生もいるかもしれません。

そのような、正解がわからない中で、正解を見つけ出していく時に試行錯誤が必要となりますが、そこで重要になるのが教員間の協働です。1人で試行錯誤をするのには、限界があります。校内の教員全員が試したことを持ち寄れば、経験は10にも20にも30にも増えていきます。試行錯誤のプロセスを話し合うことで、先生方全員のスキルがアップしていきますし、そうした活動を通して、アクティブ・ラーニングが定着していきます。

アクティブ・ラーニングを効果的に行うための工夫は、教科内容に左右されるものではありません。生徒が主体的になれる活動であれば、他教科にも応用できます。
さらに、子どもたちが身につけるべき力は何か、教科の専門性を超えて教員同士が話すきっかけとなります。言語能力は国語、論理性は数学など、教科ごとに育てるべき力があるかのようにいわれていますが、論理的に話すことは数学でも必要ですし、論述は地歴や理科でも求められる力です。アクティブ・ラーニングの推進は、学校全体で教育について深く考えていく絶好の機会にもなるのです。

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