教育フォーカス

【特集14】「問いのデザイン」でアクティブ・ラーニングの「種」を育てる

【導入編:2】実践 [1/3]

2015年8月、京都市にある私立・ノートルダム女学院中学高等学校は、教科学習でアクティブ・ラーニングを広めていくために、塩瀬准教授を講師に迎え、教職員研修会を開きました。当日の研修では、生徒の思考を促す発問とはどのようなものかを学ぶとともに、同校教員から選ばれた4人のコアメンバーが、自身が行うアクティブ・ラーニングの事例を発表し、その実践を基に参加者がアイデアを深めていきました。その内容をリポートします。

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ノートルダム女学院中学高等学校 「問いのデザイン」研究会リポート

事前準備

研修会の事前準備として、塩瀬准教授とコアメンバーの4人とで数回打ち合わせを行いました。アクティブ・ラーニングとは何かを考えていく上で、まず先生方がこれまで行ってきた授業の中で、手応えがあった授業がどのようなものだったかを話し合いました。その結果、そういった「よい授業」には「生徒自身が主体的に考え行動できること」や「試行錯誤ができる時間・環境を設けること」が大切だということが見えてきました。一方、生徒に対する問いの投げかけ方など、より質の高いアクティブ・ラーニングを実現するために検討すべき課題も挙げられました。そこで、研修会では、各自が授業での実践内容を発表・共有し、参加している全教職員と共に、よりよい「問い」をつくる方法を考えるグループワークを行うことになりました。

あいさつ・研修会の目的の共有

栗本嘉子校長が研修会の趣旨を説明し、講師の塩瀬准教授を紹介しました。塩瀬准教授は、「アクティブ・ラーニングの研修会なので、ワークをしながら、自分の頭で考え、アクティブに学びましょう」と提案。「アクティブ・ラーニングは、生徒主体の学びです。その学び方については、教科の専門性を超えてアドバイスをし合えるものですから、遠慮せず話し合うことがポイントです。挑戦と失敗を繰り返すことで定着していきますから、その第一歩を今日行いましょう」と、研修会の目的を伝えました。

 

事前に用意するもの…A3判のスケッチブック、油性の太いマジックペン

※参加者数を1グループ3~4人として割り、グループ分のセット数を用意

講演「今、なぜアクティブ・ラーニングが求められているのか」

ベネッセ教育総合研究所の佐藤昭宏研究員が、近年、アクティブ・ラーニングが重視されてきている背景を説明しました。これまでとこれからの教育改革の流れを踏まえた上で、学校としてどのような課題認識をもち、この変化に対応していくかについて「社会的要請」(グローバル化・少子高齢化等の社会環境の変化)と「生徒からの要請」(学習者が学んだ知識を自ら活用しながら習得していく機会や多様な学び方を求めるようになってきたという変化)という2つの観点が提示されました。

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